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EASTEIN(イースタイン)の修理とグランフィールの取付け

イースタインピアノ

2本ペダルのイースタイン D アップライトピアノを
修理・調整し、グランフィールを取付けました。

2ペダルということで少々年季が入ってます。
各フレンジはスティックのオンパレードで
まともに動いていない為、鈍く重いタッチで
弾きにくい上に鳴りも悪いです。
打鍵するとカチャカチャと雑音も出ています。
どんな名器も設置環境が悪かったり、
メンテナンスを怠っていては、良い音が出ることはなく、
タッチも悪くなってしまいます。
整備不良の名器より、
手の行き届いたジャンクピアノのほうが
音がいいなんて事は割とある事です。

現状から想像されるのは
以前は戸建ての1階で湿気をたっぷりと吸い、
現在のマンションに移動してからは、
フロアが高いのと
南向リビングの良過ぎる日当りにより乾燥状態にさらされ、
今の状態に至っている模様です。
湿気で膨張したクロスがある一方で、
木部は収縮している状態にあり、
湿気と乾燥二つの症状が混在しています。
一定年数湿気にされし、一定年数真逆の環境に置いていることが
ダメージを大きくしています。
初回の訪問時にピッチ上げ調律を済ませ、
ルーズピンの処置と鍵盤まわりのメンテナンスと粗整調までを行い、
そのままアクションをお預かりしてきました。

センターピンの交換

とにかくスティックが酷いので、
バット、ジャック、ウィペン、ダンパーと全てのセンターピンを交換します。
オリジナルのセンターピンは
バット、ウィペン、ダンパーが#20で
ジャックは#19でした。
いずれのフレンジも
トルクは軽くても6gはあり、
大半はゲージを振り切ってしまう状態でした。

バットの溝

ブッシングクロス部分は非常にキツいのですが
鉛筆の先で示した部分、
センターピンを保持するバットの溝が
センターピンの太さに対して緩い(広がっている)状態となっており、
それが打鍵するたびにカチャカチャと
雑音を出す原因となっていました。
普通この手の雑音は、
バットフレンジスクリューかバットプレートスクリューのゆるみ、
もしくは膠切れが原因で起きることが多いですが、
今回は上記のような原因でした。
#20 1/2か、場所によって#21のセンターピンに交換することで、
ちょうど良い感じでした。
数カ所だけ#21 1/2でちょうどいい感じでした。
一部のバットとバットフレンジは
隙間がキツ過ぎる状態でしたので少し削りクリアランスを確保。
バットスプリングは全て圧を調整し直しました。

ダンパーレバークロスの消耗
4ヶ所のダンパーレバークロスで、
激しく消耗がみられましたのでクロスを交換しておきました。
消耗の原因は、スプーンの錆とダンパーロッドの腐食や
汚れの堆積によるものです。

ダンパーロッド

ダンパーロッドの表面はザラザラになっています。
これがダンパーレバークロスを削ってしまう原因。

ダンパーロッド磨き

ダンパーロッドをツルツルに磨き直しました。
レバークロスに優しく、雑音対策にもなります。
ダンパースプーンも同様に磨き直しました。

全てのセンターピンを交換し
グランフィールのレペティションスプリング、
ドロップスプリング、バット加工など諸々済ませて
アクションを仮組し、動作確認してみたところ
いまいちな動きで、スムーズにダブルエスケープしません。

ジャック

ダブルエスケープしない原因の一つは
ジャックスプリング圧が不足ぎみだったのが一点。
これは圧を少し強めておきました。
でもう一点、こちらが問題だったのですが
オリジナルのジャックの頭の奥側(弦側)の角が
直角で面取りがされていない為
ジャックがスムーズに戻れなかったようです。

ジャックの面取り

一度取付けたウィペンアッセンブリーを一度外し、
全てのジャックの面取りを行い、
再度動作を確認したところ、
スムーズにダブルエスケープするようになりました。
グランフィールの付いていない普通のアップライトピアノでも、
ジャックが面取りされていない場合、
ジャックの戻りは悪いことが想像出来ます。
そのようなピアノはジャックの面取りをしてやると、
アクションの動作を改善出来る余地があります。
ジャックはちょうど面取りした部分と奥側にかけて
McLubeを施工しておきます。
頭全てにMcLubeを施工しないのは、
ジャックはバットを押し上げていく時にはある程度の抵抗が必要で、
戻るときは素早く戻って欲しいからで、
この辺りは作業する方の考え方で違ってくるかと思われます。

整音の下処理

ハンマーは、年数相応に弦溝が入り形も悪くなっているので、
針の下入れとファイリングをしておき、
現場で再度整音します。
このイースタインの場合は
最低音部と最高音部に硬化剤を使いました。

アクションは全体に汚れが酷かったので、
可能な範囲で清掃しておきました。
ダンパーストップレールのクロスは
新しいものに交換しておきました。

アクションの不具合箇所の修正と
グランフィールパーツの取り付け及び加工が済んだら、
お客様のピアノにセットして本整調とスプリング調整です。

ショット&ドロップスプリング

新たに追加されたショット&ドロップスプリング。
接弦点のどの程度手前で効かせるか、
レットオフとの兼ね合い、
レペティションスプリングとの兼ね合いなど、
お客様の好みも考慮しセッティングしていきます。

レペティションスプリング

こちらも新たに追加されたレペティションスプリング。
今回は二点一致を意識しつつ、
いつもより少しだけ強めのセッティングにして
グランドのタッチ感を強調しています。

イースタインバッジ

グランフィールロゴ

スプリング調整を終え、グランドタッチのイースタインが完成。
スティックが解消され、イースタイン本来のパワーのある鳴りが戻ってきました。
そこにショット&ドロップスプリングによる
豊富な高次倍音がミックスされ華やかな響きとなっています。
下整音してあったハンマーは、
ほとんど修正する必要はないくらいに下処理が狙い通りでした。
タッチもレペティションスプリングが追加されたことで、
グランドピアノさながらにコントロール性が向上し、
高速トリルや連打が容易に弾けるようになりました。

あいにく納品時は、
ピアノをお使いのお客様が不在でご家族に対応頂いたきましたが、
後でご本人様から
「弾きやすく、音も良くなった!」
とのメールを頂戴しました。

今回の作業のように
アクション修理作業の中にグランフィールの取付けを組み込んで、
アップライトをグランド化してしまうのもタイミングとしてはオススメです。

【EASTEIN(イースタイン)の修理とグランフィールの取付け・調整@埼玉県さいたま市 】

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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