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調律するのに適した季節はあるの?

ピアノ
調律をするのに、とくにこの時期が良いというのはありません。
お客様が「そろそろお願いしよう」と思い立ったらそのときに実施すればOKです。
6月は良くないとか、9月は良いといった事もありません。

ですが「思い立った時がピアノを調律する時」というと誤解を招きそうです。
これまで何らかの理由で、メンテナンスをしていなかった方にとってはまさに「思い立った時がその時」といえます。
でもその次のピアノの調律をあまりに思い付きのタイミングで行っても音律が安定しません。

好ましくない例としては、
一度ピアノの調律をして

その後、3年ほどして「そういえばピアノの調律していないな」と思い出して作業を依頼し

また4、5年経って調律をする

といったケースがあります。
このような場合、毎回音律が大分狂ってから作業をすることになりますから、せっかく調律をしても音律が安定せず狂い始めるのがが早かったりします。

アコースティックピアノをお使い頂く上での大前提として、ピアノを置いているお部屋の湿度は、1年中概ね一定(相対湿度50パーセント前後)にして頂いているという事があります。
いつでも湿度を一定に保って頂いているという事は言い換えますと、ピアノを置いているお部屋には季節がないということです。
これすごく大事!(「部屋に季節がない」状態ね)
湿度をある程度管理されているお宅のピアノは、季節に関係なくいつでも調律が可能です。
また音律も安定した状態が保たれます。

では、まったく湿度を気にしていないお宅のピアノはどのような状態でしょう。

春はまずまずの環境

梅雨時~夏場は、ピアノが湿気を吸いまくり

秋はまずまず

冬はピアノが過乾燥の状態(梅雨時に吸った湿気がピアノから出ていく)

梅雨時~夏場に湿気を吸ったピアノは響板(きょうばん)や駒が膨張し、中音の割り振り付近を中心にピッチが上昇、
冬場は過乾燥により響板が下がって、ピッチは低下。
と、日ごと季節ごとに調律が不安定な状態です。
中音から低音にかけてのオクターブを弾くと「ぐぅわんわんわん」となってしまう狂いかたは、湿度を管理していない場所のピアノの特徴的な音律の狂いです。

つまり湿度が一定でない場所のピアノは、いつ調律をしても季節ごとに狂ってしまいますので、結局湿度管理していないお宅の場合も、いつがいいというのは無いのです。
湿度管理をしていないお宅においては、あえて挙げるならば極端な季節、つまり湿度の高い時期と冬場の乾燥した季節にピアノを拝見させて頂ければ、適切なアドバイスを出来ます。
あえて梅雨時や1~2月などに拝見させて頂くのは悪い事ではないです。

たった1年に1回の調律でも、それを10年、20年と欠かさずに続けているピアノは、音律も非常に安定しています。
もちろんこれは適湿に保ようにしている環境での場合ですが。 ピアノの調律をする上で大切なことは、とにかく定期的(1年、半年、4ヶ月定期等々)にメンテを継続し、湿度管理をする、この2点に尽きます。

ピアノをお使い頂く上で心掛けて頂きたいのは、ピアノを設置してあるお部屋の季節感を無くして頂きたいということです。
つまり梅雨時でもお部屋の中は秋。
真冬でもお部屋の中は秋。
そんな状態にしてもらえればOKです。

一般的にピアノが快適に過ごせる湿度は50パーセント程度です。
梅雨~夏は除湿(三菱電機の型番180の除湿機がオススメです)を、冬は必要に応じて加湿をします。(加湿器はパナソニックの気化式がオススメです)
年間通じて出きる範囲で相対湿度を一定(50%)に保つと音律も安定しますし、長期的にはピアノの寿命も長くなります。

湿度を知るためには正確な湿度計が必要になる訳ですが、多くの市販の湿度計は誤差が多く、ピアノの湿度管理に使うには「この数値、あってるのかな?」と不安を感じるものが少なくないです。
比較的安価で精度の良い湿度計として、 手始めにお勧めは EMPEX さんの SUPER EX SENSOR を搭載した 「Super EX 温度湿度計」が宜しいかと思います。
価格の割に、誤差が+-2%と ご家庭で使用するには十分な性能を備えています。
湿度計は精度が落ちてくるので、3年から4年で買い替えていくといいです。
一度でも落とすなど強い衝撃を与えてしまった場合も買い換えたほうが無難です。
もちろんもっと精度の良い湿度計を使って頂いても構いませんが、これまで「おんど、しつど」を気にしていなかった方は、まずは Super EX から始めてみるといいです。

また日本製のピアノだからと言っても、梅雨時に除湿しなくていい強靭な造りになっている訳ではありません。
あまりに湿気を吸えばそれなりの症状が出ますし、過乾燥になればトラブルがおきます。
大切なピアノと少しでも長く付き合えるよう、湿度の管理には気をくばりましょう。

【参考】 : 長年に渡り多湿と過乾燥をくり返した為に、弾力を失い硬化して、フェルトというよりは、さながら和菓子の落雁(らくがん)のようになってしまったキーバックレールフェルト

バックレールフェルト
(ボロボロになったキーバックレールフェルト)

関連リンク : 調律を安定させる為に

The author is Masami Watanabe

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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