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作業事例一覧

KimBall キンボールピアノの修理、調整

キンボールピアノ

コンソールタイプのKimBall(キンボール)ピアノの調整、調律などを行いました。

家の建て替えを機に部屋を防音仕様にし、しばらく気兼ねして弾いていなかったピアノを修理、調整して思いっきり弾きたいとの事。都心では部屋をしっかり防音仕様にしてピアノを弾くのが浸透してきました。好きな事をやるにもマナーが大切です。

キンボール2
キンボール3
以前作業したキンボールピアノより(http://piano-tuner.blog.so-net.ne.jp/2011-12-11)少し新しめの納品から35年ほどのピアノです。

スティック
写真のように全鍵に渡りスティックが酷く鍵盤のキータッチは非常にもっさりと重くまともに弾ける状態ではないのが現状です。バット、ジャック、ウィペン、ダンパー、全てのフレンジがトルク過多と判断します。

ブッシングクロスの消耗
キーブッシングクロスは摩耗し芯地に達しています。

出先でちょちょいと作業してどうにか出来る状態では無いのでお客様と相談の上、一旦、アクションと鍵盤を修理した後あらためて調整、調律することにしました。

アクションをお預かり
アクションと鍵盤をピックアップしてきて修理、調整、総点検します。

バットプレートの無いフレンジ
とにかく酷いスティックを起こしてるのでハンマーバットのセンターピンから全て交換します。このピアノはバットプレートの無いタイプです。

レンナー、センターピン
交換に使用するのはレンナーのセンターピンですがこのピアノのオリジナルのセンターピンは通常のピアノよりも全体に太目のものが使われています。

バットとジャックは、#21 1/2ウィペンとダンパーは、#22です。

バットのセンターピン交換作業

錆びたセンターピン
センターピンの断面には酷い錆が見られます。

センターピン抜き
センターピン抜き工具を使って古いセンターピンを抜きます。

センターピンを抜く
古いセンターピンが抜けました。ブッシングクロスとの接点(回転部分)に錆が見られます。

リーマー
ブッシングクロスの穴にリーマーを通して最適なトルクを造ります。

ブロワ
ブロワでブッシングクロスの削りかすを飛ばします。

新しいセンターピンを通す
リーマーを通しては、センターピンを刺してを繰り返してベストなトルクにします。

センターピンをセット
完璧なトルク設定になったら新しいセンターピンをセットし長い分はカット。

交換完了
交換完了。カットした断面が綺麗でないと動作に影響が出るのと美しくないので綺麗に仕上げます。残り87ヶ所も同様に交換します。

バット全て完了
バットのセンターピンを全て交換しました。

ジャック、ウィペンのセンターピン交換

ジャック、ウィペン交換完了
ジャックとウィペンのセンターピンも全て交換し、フレンジのトルクを最適化しました。

ダンパーのセンターピン交換
ダンパーのセンターピンも同様に全て交換します。

ハンマーの現状
ハンマーはそこそこの弦溝が付いているのと形が悪かったのでファイリング(整形)しておきます。

針入れ
ハンマーにピッカーで針の下入れをしておきます。現状では針入れが足りず、キャンキャンと子犬が大騒ぎしているような音色で聴いていられないので、お腹から発声する仕上がりを想定してある程度しっかり針を入れておきます。

ハンマーのファイリング1

ハンマーのファイリング2
左がファイリング後のハンマー。右がファイリング前です。弦との接点が多すぎるので少し先端を出し、倍音が出るような形に整形しました。

アクションレール
パーツの外れたアクションは各レールを綺麗にしておきます。

消耗したキーブッシング
消耗したキーブッシングクロスは雑音と鍵盤のガタの原因になるので交換します。

レンナー、ブッシングクロス
レンナーのブッシングクロスを使用します。

アイロン

ブッシングクロスを剥がす
アイロンのスチームでブッシングクロスを剥がします。

バランス部張り駒

フロント部張駒

フロントブッシングクロス交換完了

バランスブッシング交換完了
張駒をして接着し、全てのブッシングクロスを交換完了です。

潰れたクロスの修復
ウィペンヒールクロスのキャプスタンとの接点が窪んでしまってるのでvs profelt treatment を浸透させアイロンを使って修復してみました。

潰れたクロスの修復
左が修復前。右が vs profelt treatment を使って修復したものです。すり減ってしまっている場合は交換するしかないですが軽度の窪みであれば、効果有です。

ダンパースプーンの潤滑
ダンパースプーンは磨き直してから潤滑します。ダンパーの抵抗を取り除き非ペダル使用時とペダル使用時の差を軽減します。

ダンパースプリングの潤滑
ダンパーレバースプリングも潤滑しておきます。先のダンパースプーンの潤滑と同じ狙いです。

ダンパーロッドの現状
ダンパーロッドがザラザラになっています。

ダンパーロッドの磨き直し

ダンパーロッドの磨き直し2
雑音を防止しスムーズに動作するようにダンパーロッドをツルツルに磨き直しました。ロッドが2本あるのは、1本はベースダンパーです。

アクションと鍵盤の問題を取り除いたらピアノにセットして調整します。

ピアノ内の埃
しばらく調律していなかったとの事で内部は埃が酷いです。

ピアノの掃除
内部清掃して、キーピンを磨き潤滑しました。

ロストモーション調整

レットオフ調整
整調、各工程を一から見直して終了。調律はもちろん下律からのピッチ上げコースです。(2回調律をして、どうにか音を止めます)

キンボールピアノ仕上がり
お客様に試弾してもらいます。

「あ、綺麗な音!」

という第一印象でした。

鍵盤からアクションに至るまでの稼動部の抵抗が無くなり部品の走るスピードが早くなったこととハンマーの針入れと整形が効いているようです。思いのほか素直に変化する調整しやすいピアノです。

ただ

鍵盤の重さ
鍵盤が軽過ぎるようで計ってみるとものすごく軽い。軽過ぎる。

ダウンウェイトが40g前後、リフトウェイトが20g前後。

アクションを外して持ってみた時からこの結果は予想していましたがアクション全体が、ものすごく軽いんです。鍵盤奥側の重量がもう少しあればちょうど良い感じになると思います。

国内メーカーのコンソールだと背が低いだけでなく鍵盤まで極端に短いのでおもちゃのようなタッチになりがちですが(ピアノ本体の高さだけで無く奥行きも短く造ってある)米国のコンソールは鍵盤が長いことが多く(その分、ピアノ本体の奥行きは長い)ウェイトのバランスをとってやればタッチも大分改善する予感がします。くわえて、このキンボールのアクションはハンマーシャンクこそ短いのですがジャックの長さはセンターピンからジャックの先端までしっかり 70mm 確保してあるのが良いです。

鍵盤鉛
もう一点、鍵盤鉛が入っていることは入っているのですが全鍵、鍵盤の後端に一直線の横並びに入っていました。そのせいか、白鍵と比べ全体に黒鍵が重いという状態になっています。

手持ちのタッチ調整鉛を鍵盤の奥側に配置して鍵盤のウェイトを計ってみるとダウンウェイト、リフト値ともに丁度良い感じになるようです。

重過ぎる鍵盤も弾きにくいけど軽過ぎる鍵盤も弾きにくい。

標準と言われる重さは 50g 程度。

ダウンウェイトだけに気を取られてリフト値を蔑ろにしてもいけない。

数字だけで調整しても慣性モーメントを考慮しないとこれまた弾きにくい...

最後は実際に弾いてみた感じで調整を追い込んでいます。

お客様には、後日タッチ調整鉛を追加して鍵盤のウェイト調整をすると一般的な重さの鍵盤になって弾きやすくなりフォルテももう少し元気になる旨をお伝えしてこの日の作業はひとまず完了です。

下前パネル
下前パネル。グランドピアノのようになっていますが実はダミーです。でも、これ凄くオシャレですね。

【KimBall キンボールピアノの調整@東京都杉並区】

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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