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大橋ピアノのキータッチウェイトを調整

大橋ピアノ No.132
お客様から大橋ピアノ(No.132)の鍵盤の重さを調整して欲しいとのご依頼がありました。
聞けばこのピアノ、試弾することも無くネットで購入なさったそうで。
で、試弾していないので
納品されてから不満な点がアレコレと。
最近増えてきました、このパターン。
これも時代なんでしょうかねぇ...。
家電製品でしたらネットで最安値を買うのが良いのでしょうが、
ピアノのようなアコースティック楽器を弾かずに買うのは無謀過ぎます。
ピアノは必ず現物を試弾してから買いましょうw

ご依頼内容としては以下のような感じで

  • テンポの速い曲を好んで弾く
  • ピアノの先生宅など他所で弾くピアノと比べ鍵盤が重たく感じる
  • 鍵盤が重く弾き難いので、つい電子ピアノばかり弾いてしまうが、音色はやはり大橋ピアノが良いのでタッチウェイトの調整をして欲しい


で、実際にお伺いさせて頂き、ダウンウェイト(DW)を計ってみました。

【ダウンウェイト現状】

  • 低音セクション 54g
  • 中音セクション 44g
  • 高音セクション 45g


いずれも平均でバラツキ有りですが
中音と高音のDWが極端に軽いのが分かります。
数値だけで言えば、重いどころか軽過ぎです。

ではアップウェイトはどうでしょう。

  • 低音セクション 30g
  • 中音セクション 18gから20g
  • 高音セクション 18gから20g


バランスが悪いですね。
低音のUWは、一般的に20g台前半ですし
中音から高音にかけて低音セクションより
アップウェイトの数値は大きくなっていくのが一般的ですが
このピアノでは逆転しています。
どうやらこの大橋ピアノの鍵盤が重く感じるのは
UWが不足している事が大きいようです。
DWだけみれば、45gくらいですから
本来ならば軽く感じる筈なのですが
ここでは弾き手の「テンポの速い曲を好む」がポイントで、
極めてゆっくりな動きの場合、DW45gで軽く感じるのかもしれませんが、
速いパッセージを弾こうとする時には
UW20gというのがネックになり
鍵盤の反応にもたつきを感じるため
DWの数値が小さいにも関わらず、鍵盤は重く感じるという状態のようです。

ピアノ全体をチェックしてみると
原因は大きく2つ。

  • 鍵盤鉛が入っていない
  • ハンマー交換してあるが、重量が適切でない


鍵盤鉛が入っていない大橋ピアノ
写真のように大橋ピアノの場合
全鍵に渡って鍵盤鉛が入っていません。
ただ、これは大橋ピアノの美学で、一概に鉛が入っていないから駄目という訳ではありません。
このピアノ、某販売店でアクションのほとんどを新品に交換してあり、ハンマーも当然新品に交換されているのですが、交換した際にDW、UWを考慮していないのか、ハンマーの重量を気にせず交換してあるようで、結果低音だけ重く、中音と高音は極端に軽いバランスの悪いタッチになってしまっているようです。
大橋ピアノくらいの年式になると
新品パーツに交換するのは歓迎すべき点ですが
何も考えずにポン付けしてしまうと
タッチや音色が大橋の意図しない方向に変わってしまいます。

バランスパンチングクロスのカット
初回訪問時に調律と全体整調を済ませ、
2度目の訪問で 鍵盤のウェイト調整に入ります。
低音セクションは、中・高音に比べ少々重たいので
少し軽くする方向で調整していき中・高音とのバランスをとります。
低音部のキャプスタンは2mmほど手前にして
黒鍵が白鍵に比べ妙に重く弾き難いので
低音の黒鍵のみバランスパンチングクロスを半分カットし
鍵盤の裏に貼りました。

タッチ調整鉛の配置
中音と高音は、重さの違う2種類のタッチ調整鉛を配置してバランスをとります。

タッチ調整鉛
位置決めが済んだ後の配置はこのようになりました。
高音セクションに重たい鉛が多く使われてます。
中音もそうですが、特に高音のハンマーヘッドの重量が
このピアノには少々軽過ぎるようです。

作業後のUWは

  • 低音セクション 25g
  • 中音セクション 25gから26g
  • 高音セクション 26gから27g

 

DWは

  • 低音セクション 55gから52g
  • 中音セクション 50g
  • 高音セクション 48g


UWのほうを優先して極力バラツキの無いようにし、
しかしDWもほぼほぼ綺麗に低音から高音に繋がりました。

速いパッセージやトリル、連打を試してみると
UWが増した事で反応が速くなり弾きやすくなりました。

あと気になる部分としては
ジャック先端の奥側が面取りされていない為
ジャックが戻る際の抵抗が大きく
これもレスポンスを悪くしている原因なのと
同時にバット加工もしてやれば
今よりジャックの戻りが速くなり
さらに弾きやすくなると思われます。
ただ、そこまでするなら
いっそのことグランフィールを取付けてしまっても
いいように思います。
OHHASHI Piano No.132

お手持ちのピアノが弾き難い場合、
弾き手が悪いのではなく、ピアノに問題がある事も少なくありません。
今お使いのピアノが弾き難いと感じる方は
一度DW、UWを調律師さんに診てもらい
調整が必要な状態かどうかチェックしてもらうと良いです。

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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