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ヤマハU30Aの調整(重たいピアノの鍵盤を軽くする)

ヤマハU30A
ヤマハのアップライトピアノ(U30A)をお使いのお客様から鍵盤を軽くして欲しいとのご依頼でタッチを軽くする作業を行いました。

小学五年生の娘さんが「他所で弾くピアノより鍵盤が重い」「レッスンではつかえないで弾ける」とおっしゃっていてその子のお母さんからのご依頼でした。

中古で購入したヤマハU30Aでこれまで購入店から調律師さんが来てくれていたそうですが調律に来てもらった際、鍵盤が重い事を告げると「こんなもんですよ(ニコッ!)」で済まされ調整してもらえなかったとの事でこちらに問い合わせがあった次第です。

事前にどの程度の重さなのか10円玉を使って計る方法をご案内して鍵盤の重さを全鍵に渡って調べて頂きご報告頂きました。結果、一部軽い鍵盤で 54g(これくらいであれば問題無し)もっとも重い鍵盤で 76g(激重です,,)、大半が 70g とのことでした。

※標準的な鍵盤の重さは 50g 程度です。お客さんに計ってもらった値なので誤差を考慮しても全体にかなり重たいと言えそうです。アクションのスティック修理なども必要かもしれないと思いながら作業にお伺いしました。

さっそく鍵盤全域の重さを調べてみたところ55g から 67g といった重さで、やはり大分重たいようです。アクションのほうは、任意のいくつかのフレンジをはずしてトルクを見てみましたがこちらは問題なさそうですので貼付け式のタッチ調整用鉛を使い鍵盤鉛調整で対応する事にしました。

ピアノ消音ユニット
作業に入る前にピアノ購入時にはマンション住まいだったので取付けたという、後付けの消音ピアノユニットを現在は戸建てに越されてまったく使わないという事でしたので、消音ユニットを取り外します。

後付けの消音ユニットは初期のものが発売になってからずいぶん経ちますが、最近は様々な理由で取り外す仕事も増えてきました。消音ユニットを取り外す理由のいくつかとして

  • 1. 集合住宅から戸建てに移り、不要になったので。
  • 2. 後付けした消音ユニットの部材が雑音を出すので。
  • 3. 後付け消音ユニットの取付が上手く無く、タッチが悪くなったので。

等々、人によって様々です。

2. は施工が悪い場合もありますが正しく取付けていても雑音が出ることがあります。特にアクチュエーターのある光センサーのタイプではアクチュエーターの支点付近での雑音や鍵盤とアクチュエーターの接点でも雑音が出てしまっているものがあります。その他ロットによりますが、操作パネルのスイッチ基盤がアコースティックで使用の際、共鳴して雑音をだしているものが稀にテクニクスとコルグの音源ボックスで見受けられます。取付が正しくても雑音が出てしまう事があるのは始末が悪いです。

3. も結構な割合で目にしますがハンマーシャンクのストッパーの直線性がとれていなかったり前後位置が上手く出せずに、レットオフをかなり広く取らなければならなくなってしまっているものやストッパーとダンパーが干渉してしまいダンパースプーンの掛かりを極端に遅くしているものなど色々と見かけます。

後付けの消音ユニットは、必要な方にとっては大変便利な装置ですが、後付け故に取付ける側の施工レベルにムラがあって取付が上手くいっていないとピアノの性能を下げる事もありますのでなかなか難しいものです。もともと生のピアノに必要のない金属パーツを大量にピアノに配置する事になるので必要がなければ、無いにこした事のない機械です。

取り外した消音ピアノユニット
余談が長くなってしまいましたが不要になった消音ピアノユニットを取り外しました。

ピアノの棚板
棚板もスッキリしました。前後のキーピンを薬品でクリーニングした後キーピンに潤滑剤を塗布して鍵盤のバランス・フロントホールの調整も済ませておきました。

鍵盤鉛を追加する位置を決める
1鍵ごと、鉛を追加する位置を決めていきます。隣の鍵盤との誤差を限りなくゼロになるように慎重に位置を決めていきます。

タッチ調整鉛を追加する
全ての鍵盤の位置決めが済んだら調整用の鉛を鍵盤の底面に貼っていきます。

鍵盤鉛全景1
鍵盤鉛全景2 鍵盤鉛全景3
全体でこのような位置に鉛を追加して弾きやすい鍵盤のタッチになりました。

ダウンウェイトは、最低音から最高音にかけて53g から 47g にしました。低音部はあまり軽すぎない方が安っぽいタッチにならず良いようです。リフトウェイトは多少誤差がありますが下から上へ 24g から 29g 程度にしました。

レットオフ
以前の方が取付けた後付けの消音ユニットの弊害で広く取り過ぎていたレットオフを3mm から 2mm 程度に戻します。

ダンパースプーンの掛かりを修正
同じく掛かりの遅すぎたダンパースプーンを1/2 で掛かるよう修正します。
その他、ダンパースプーンとレバースプリングを潤滑しレバースプリングは少し弱くしてペダルを踏まない時の鍵盤の重さとペダル使用時の差を少なくしました。またハンマーストップを基準寸法に修正し国産ピアノでは良く見られる最低音部と最高音部の鳴りが足りないのでハンマーの鳴りをよくポイントに針入れをしておきました。

猫
こちらのお宅の猫も最終チェックに加わります。

作業を終えて試弾しチェックしましたがかなり弾きやすく軽快なタッチになりました。このくらいの鍵盤の重さであれば何時間弾いていても疲れにくいでしょうしピアノを弾く事がより楽しくなると思います。

P.S. Y様、何度もコーヒーをありがとうございます。

自転車のホイールのバランスウェイト
ところで鉛調整と言えば私は自転車のホイールもウェイトのバランスをとるのに鉛調整しています。

その効果は体感出来るくらいあって
・高速巡航時に安定した走りが得られる。
・ここ一番での加速の伸びが違う。
・コーナリングが安定する
等、良い事尽くめです。ロードレーサーやMTB、小径車なんかではかなり効果が体験出来ますのでオススメです。

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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