グランフィールの取付け(FLORA フローラ)

flora piano
FLORA(フローラ)ピアノにグランフィールを取付けました。
ピアノそのものは45年ほど経過していて
細かな部分の修理、調整は必要ですが本体はまだまだ現役です。
フローラピアノ

グランフィールの取付けに際しては
アクションをしばらくの間、お預かりしての作業になります。

レペティションスプリング
アクションに新たに搭載されるのが
レペティションスプリング
(グランドには元々付いていますが、アップライトには付いてない部品)

レペティションスプリングの追加により、グランドピアノ並の
トリルや連打がアップライトで可能になります。
鍵盤底面での適度な抵抗感が得られ
コントロール性が向上し豊かな演奏表現が可能になります。

ドロップスプリング
もう一つ新たに取付けられるのが
ドロップスプリング

グランドピアノではドロップスクリューですが
これをドロップスプリングとする事で
ハンマーの弦離れを加速させ豊富な高次倍音を発生させる機能を併せ持っています。
その結果、グランドと比べ劣化してしまっているアップライトの響きが
グランドピアノのような華のある響きとなります。

ハンマーバット加工
ハンマーバット加工。

高速トリルや連打を実現するために
ハンマーのバットに一手間加えます。

センターピン交換
バット加工する為にハンマーアッセンブリーを外しますが
丁度良いタイミングですので
バットフレンジのセンターピンも88本全て交換しました。
中音セクションはシャンクが左右にブレるくらいスカスカになっていて
最低音部と最高音部にはスティックが見られる状態でした。
バットフレンジは高級感のあるタッチを造るために若干のトルクを持たせます。
タッチが重くならないギリギリのラインでトルク調整しました。
スティック防止の潤滑処理もしてあります。

ハンマー整音
そしてハンマーアッセンブリーが取り外されているこの状態で
ハンマー整音の下処理を行います。
ハンマーに針を下入れした後
崩れたハンマーの形をファイリングで整え
倍音が出やすい形に整形しておきます。
レンナーハンマーなので扱いやすいです。

その他、平行して行ったのは
ペダルロッドブッシングがダンパー、ソフト共に
劣化していたので新しい物に交換。
ウィペン、ジャック、ダンパーのセンターピンを全て潤滑。
ダンパーレバーとレバースプリングの接点の潤滑。
ジャック頭の奥側から角にかけて潤滑。
ダンパースプーンの潤滑。
ダンパーロッドの磨き直し。
アルミハンマーレールの鏡面仕上。

グランフィールパーツの取付けとアクションの調整が済んだら
お客様のもとに納品して、本格的な調整を。

鍵盤ならし、あがき
鍵盤は「ならし」、「あがき」共全体に深めで
ストロークが多過ぎるので再調整。
整調は一通り全て見直しています。
特にダンパースプーンの掛かりが極端に遅かったので修正しました。
ダンパー総上げもバラツキが多く修正。
そしてレペティションスプリングとドロップスプリングが
演奏時、違和感を感じず最大限機能するように調整。
その他
屋根のロングヒンジの共鳴による雑音対策を施工して
譜面台ヒンジはゆるゆるだったため新品に交換しました。

グランフィール作業完了
調整を終えたら試弾し最終チェック。
フローラピアノはきちんと整音されていれば
特有の「木の音」を奏でますが
このフローラサウンドに豊かな倍音がプラスされ
響きにかなり厚みが増しました。
使用者のお母さんも、側で聴いていて違いに気付いた様子。
弦やハンマー、ましてや響板を換えた訳でもなく
グランフィールの小さな部品達が追加されただけで
ワンランク上の響きになってしまいました。
あらかじめ音域ごとの弱点を補うような下処理を行っているので
相乗効果で最低音から最高音まで元気よく鳴ってくれています。
タッチのほうも、下ろした鍵盤を上げきらない位置での
トリルや連打がグランド同様に再現されています。
フローラのアクションが大柄ですので
レペティションスプリングが無理なく効いてくれています。
ダイナミックレンジはワイドになり
より小さな音が出しやすくなっています。
子供さんの取り組む曲にも次第にトリル、連打が
出てくるようになってきたとの事で、
これでしっかり練習していただければ
本番のグランドでも違和感なく演奏出来る筈です。
アップライトピアノにグランドの響きとタッチを実現する
グランフィールに関しては以下もご参考にどうぞ↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html

 

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