グランフィールの取付け(ペトロフP118C1)
アップライトピアノに
グランドピアノのタッチと響きを実現する
「グランフィール」
を、ペトロフ P118C1 にお取付けました。
「グランフィール」は、
今お使いのアップライトピアノに
グランフィールパーツを取付けることで
「アップライトピアノがグランドピアノになってしまう」
という技術で、大変ご好評頂いております。
今回の ペトロフ P118C1 は
調律のほうも3年程空いてしまっているとのことで
初回は調律、調整(整調)でお伺いしました。
気になった点は二つ。
一つは、現状の整音が上手く無い。
ペトロフは膨大な時間を掛けて
高い精度で調整してあげると
素晴らしいピアノになるのですが
なかなか、しっかり手の入っているペトロフは少なく
非常に残念なことです。
中音セクションと低音セクションはモサモサの沈んだ音、
59key(G)からの次高音はまぁまぁで、
71key(G)から上の最高音セクションは
硬化剤の効き過ぎでカチカチ山に。
このイマイチな音色は
アクションを預かっている間に
下処理しておこうと思います。
もう一点は、湿度がかなり高いようで
アクションの数カ所にカビが見受けられました。
ペトロフのような欧州製ピアノは
ある程度ドライな環境でないと
本来の性能を発揮出来ません。
また、このまま多湿の環境にさらされていると
ピアノへのダメージも大きいでしょう。
お客様に現状を見て頂いて、ご相談の上
今までよりも、きちんと除湿をして頂いて
且つ「ピアノ防湿器 ダンプチェイサー」の
取付けもご希望でしたので
こちらも取付ける事にしました。
お客様のピアノのアクションに
グランフィールパーツを取付けるために
いったんアクションをお預かりして
グランフィールをインストールしていきます。
ペトロフ P118C1 のアクションに
レペティションスプリングと
ショット&ドロップスプリングが取付きました。
ハンマーバットには、とある加工をすることで
よりグランドピアノのタッチに近い
レスポンスの良いタッチを目指します。
アクションをばらしているついでに
各稼動部の潤滑処理も済ませておきます。
グランドピアノに備わっている
レペティションとドロップを
アップライトのアクションに追加することで
アップライトピアノでも
グランドと同様のタッチが得られるようになります。
音色と形状がイマイチだったハンマーを
整形し整音の下処理をしました。
どんな音色に変化するか、納品が楽しみです。
弱音の多用により
マフラーフェルトに穴が開き
弱音が効かなくなっていたので貼り替えました。
ペトロフの弱音フェルトは
弱音時の発音を良くしようとする為か
薄手のものが使われていて
割と穴が開きやすいです。
アクションをお客様のピアノにセットし
レペティションスプリングと
ショット&ドロップスプリングの調整、
整調、整音の再調整などを
一日掛けて入念に行い
グランドタッチのアップライトピアノの完成です。
お客様「グランドだ!!」
しばし二人でグランドの音色とタッチを堪能しました。
グランドピアノと同様に、鍵盤を下ろした状態から
底の浅い位置での打鍵が可能になり
トリルや連打が容易に演奏出来るようになりました。
ダイナミックレンジも広くなり
演奏表現も豊かになってます。
そして、今回のペトロフ P118C1 は
音色が非常にグランドに近づいたことに
私も大変驚きました。
倍音が出やすいような形状に整形したハンマーと
ショット&ドロップスプリングとの相乗効果により
高次倍音が増し、非常にリッチな響きになりました。
最初にお伺いした際に聴いた
モサモサの音色とは、完全に別物です。
変な小型グランドなんかより
確実に良い音色を奏でています。
お客様も大変感激されておりました。良かった!
ペトロフピアノは使用材が良いので
調整如何で伸びしろがかなりあります。
グランフィールの底力、
毎回驚かされます。
「ピアノ防湿器 ダンプチェイサー」も取付け
ピアノを常に適湿に保つ様にしました。
「形はアップライトピアノ、音色と機能はグランドピアノ」の
「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html
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2014年9月14日 | カテゴリー:グランフィール