グランフィールの取付け(ヤマハU1D)
昭和38年納品のヤマハ U1D にグランフィールを取付け
アップライトをグランドピアノ化しました。
ベルリンからメールでお問い合わせ頂き
日本に一時帰国する際に
グランフィールを取付けて欲しいとのことで取付けました。
ベルリン在住のピアニストさんで
ドイツではアンティークグランドとチェンバロをご使用との事。
初回訪問時に調律と粗整調などを済ませ
ピアノ全体の状態を把握したら
アクションをピアノから取外し一時お預かりして
グランフィールパーツを取付けます。
ショット&ドロップスプリングを取付け。
グランドピアノのドロップスクリューに相当します。
また離弦を加速させる効果もあり
これにより倍音豊かなグランドの響きが得られます。
ジャックの手前にレペティションスプリングを追加。
グランドピアノにはあるのに、アップライトには無かったパーツです。
これによりトリルや連打性が格段に向上するとともに
グランドピアノ特有のタッチ感を得ることが可能になります。
ハンマーバット加工。
ジャックの抜けと戻りが素早くなります。
またこの加工によって、バットスキンの寿命も伸びると思われます。
U1Dのジャックは、奥側が面取りされていませんでしたので
面取りをしておきました。
ほんの少し面取りしてあるだけで
ジャックの戻りはスムーズになります。
ハンマーは針を下入れしてから
(主に16keyから30key)
シューシャインでファイリング。
1keyから6keyまでと66keyから88keyまでは鳴りが不足していたので
クリアトーンを施工してあります。
グランフィールパーツの取付け、調整が済んだら
アクションを納品させて頂き、グランド整調を行います。
納品時は、既にお客様はベルリンに帰国してしまいましたので
お客様の知り合いのピアニストさんに立ち会って頂きました。
お知り合いさんも、このピアノの元の状態を知っていますので
「すごーい!」とその変わり様に大変驚いてました。
少し離れたところで聞こえる響きは、グランドのそれになっています。
グランドのタッチとなったことで
追従性が良くなりましたので、とても弾きやすいご様子。
倍音が増え、音に奥行きを感じます。
これからは日本に帰国の際も
リハが捗るのではないでしょうか。
その他、ピアノの中には乾燥剤が詰め込んでありましたが
これはほぼ効果がありませんので廃棄します。
乾燥剤の代わりに、湿気対策としてダンプチェイサーを取付けました。
アップライトの場合、特に効果大です。
アップライトピアノに
グランドピアノのタッチと響きを実現する「グランフィール」
取付けた方々からは、喜びの声を頂戴しております。
渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail info@piano-tokyo.jp
url http://www.piano-tokyo.jp/
weblog https://www.piano-tokyo.jp/blog/