グランフィールの取付け(ヤマハU1M)

グランフィール
ヤマハU1Mにグランフィールを取付け。

レペティションスプリング
グランドピアノと同じ様に
レペティションスプリングが追加され
トリル、連打、ダイナミックレンジ、タッチ感など
アップライトピアノでありながら
グランドピアノ並の性能を実現します。

ショット&ドロップスプリング
ショット&ドロップスプリングも追加されました。
グランドピアノのドロップスクリューの役割と
グランドピアノ特有の高次倍音を再現します。

この他に、バット形状を理想的な形にするための
ハンマーバット加工」もグランフィールでは必須となっています。

試弾
納品と調整が終わり、お客様に試弾して頂きました。
「弾きやすいです!鍵盤が指に吸い付いてきます」と
とても満足頂いた様子。
今回、事前に機能的な説明はしていませんでしたが
グランドのタッチになっている事がすぐに体感出来るくらいに
性能が向上している事が分かります。

電子ピアノ
こちらはアップライトピアノではなく
夜用の電子ピアノ。
ハイブリッドピアノというやつで
アクションが搭載されたもの。
ピアノ本体に消音ユニットなどを取付けて
ピアノの性能を落とすよりは
ピアノとは別に電子ピアノを用意するのが賢い選択。

ただ、このタイプは一部の消音ユニットと同じく
突然大きな音が出るというバグがあります。
オーナーさんも、このバグが嫌で使っていないとの事でした。
夜用電子ピアノはアクションが入っていない
安いエントリーモデルで十分だと思います。

 

グランフィールの取付け(ヤマハU1M)@東京都板橋区

 

「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
url  http://www.piano-tokyo.jp/
weblog  https://www.piano-tokyo.jp/blog/

グランフィールの取付け(ヤマハU1D)

グランフィール
昭和38年納品のヤマハ U1D にグランフィールを取付け
アップライトをグランドピアノ化しました。

ベルリンからメールでお問い合わせ頂き
日本に一時帰国する際に
グランフィールを取付けて欲しいとのことで取付けました。
ベルリン在住のピアニストさんで
ドイツではアンティークグランドとチェンバロをご使用との事。

初回訪問時に調律と粗整調などを済ませ
ピアノ全体の状態を把握したら
アクションをピアノから取外し一時お預かりして
グランフィールパーツを取付けます。
ショット&ドロップスプリング

ショット&ドロップスプリングを取付け。
グランドピアノのドロップスクリューに相当します。
また離弦を加速させる効果もあり
これにより倍音豊かなグランドの響きが得られます。

レペティションスプリング
ジャックの手前にレペティションスプリングを追加。
グランドピアノにはあるのに、アップライトには無かったパーツです。
これによりトリルや連打性が格段に向上するとともに
グランドピアノ特有のタッチ感を得ることが可能になります。

ハンマーバット加工
ハンマーバット加工
ジャックの抜けと戻りが素早くなります。
またこの加工によって、バットスキンの寿命も伸びると思われます。

U1Dのジャックは、奥側が面取りされていませんでしたので
面取りをしておきました。
ほんの少し面取りしてあるだけで
ジャックの戻りはスムーズになります。

ハンマーは針を下入れしてから
(主に16keyから30key)
シューシャインでファイリング。
1keyから6keyまでと66keyから88keyまでは鳴りが不足していたので
クリアトーンを施工してあります。

グランフィールパーツの取付け、調整が済んだら
アクションを納品させて頂き、グランド整調を行います。
グランフィールの調整

納品時は、既にお客様はベルリンに帰国してしまいましたので
お客様の知り合いのピアニストさんに立ち会って頂きました。

試弾
お知り合いさんも、このピアノの元の状態を知っていますので
「すごーい!」とその変わり様に大変驚いてました。
少し離れたところで聞こえる響きは、グランドのそれになっています。
グランドのタッチとなったことで
追従性が良くなりましたので、とても弾きやすいご様子。
倍音が増え、音に奥行きを感じます。

これからは日本に帰国の際も
リハが捗るのではないでしょうか。

ピアノ乾燥剤
その他、ピアノの中には乾燥剤が詰め込んでありましたが
これはほぼ効果がありませんので廃棄します。

ピアノ防湿器ダンプチェイサー
乾燥剤の代わりに、湿気対策としてダンプチェイサーを取付けました。
アップライトの場合、特に効果大です。

アップライトピアノに
グランドピアノのタッチと響きを実現する「グランフィール」
取付けた方々からは、喜びの声を頂戴しております。
渡辺ピアノ調律事務所
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クニユキピアノの修理、調整

クニユキピアノアクション
スティック修理やその他の部分の為に
クニユキピアノのアクションをお預かりして
センターピンなどを交換しました。

「スティック」というのは
アクションに300ヶ所近くある可動部、
人間で言う「関節」にあたる部分の
動きが悪く、正常に動作出来ない状態を言います。
アクションの他に鍵盤側でもスティックが起こります。

以前から修理をお勧めしてはいたのですが
スティック状態のまま騙し騙しお使いでした。
ここに来て、症状も酷くなりまともに弾く事が難しい状態となってきて
お客様も観念したのか、ようやく修理する運びとなりました。

長年、極端な湿気(梅雨から夏季)と乾燥(秋冬)を繰り返し
フレンジは重度のスティックでギリギリ動くか動かない状態。
各部の接着は剥がれ、金属部品の劣化などがあって
調律に伺う度に数カ所の修理を応急的に処置するのが
何年も続いていました。

バットフレンジのセンターピン交換
バットフレンジのセンターピンを全て交換。ガチガチです。
フレンジ専用のトルクゲージを使い、最適なトルクにして
88ヶ所を均一なトルクに調整します。
バットフレンジのトルクは、タッチ感にダイレクトに影響してきますので
慎重に調整します。

劣化したバットスプリング
ハンマーアッセンブリーではもう1ヶ所問題が。
バットスプリングが劣化して
写真のように垂れ下がり機能していません。
これまでも調律にお伺いする度に1本、2本折れていました。

折れたバットスプリング
軽く触ると折れてしまいます。

バットスプリングの交換
バットスプリングを88本全て交換しました。

ウィペンのセンターピン交換
ウィペンアッセンブリー(ジャック、ウィペン)のセンターピンと
ダンパーフレンジのセンターピンも全て交換し
適正トルクに調整します。
このピアノの場合、交換前に正常な動きをしているフレンジは
1ヶ所くらいしかありませんでした。
ジャックの頭の奥側は、いい感じに面取りされていました。
バットスキンの質もそんなに悪くないので
センターピンを交換すれば、ジャックはスムーズに戻る筈です。
ご予算のある方は、バット加工(グランフィールでお馴染みの作業)をすると
より素早くジャックが戻るようになります。
グランフィールを取付けなくても
バット加工だけでも一定の効果が期待出来ます。

オリジナルのセンターピン番手は

  • バット #0 1/2
  • ジャック #20
  • ウィペン #20 1/2
  • ダンパー #20 1/2

でした。

ウィペンヒールの剥がれ
ウィペンでは、もう1ヶ所問題があって
ウィペンヒールの接着が切れて
これも毎回の調律に伺った際に
2ヶ所くらいポロッととれていたので
全て外して再接着しておきます。
軽く触れると簡単に取れてしまう状態でした。

ダンパーロッド
ダンパーロッドも汚れが堆積しザラザラになっていました。
このままの状態で使い続けると
ダンパーレバークロスが削られてすり減ってしまうのと
雑音の原因になります。

ダンパーロッドの磨き直し
磨き直し、元の位置にセット。

拍子木
拍子木も接着が切れてバラバラに。再接着します。

その他、
ハンマーは中音セクションに針入れ、
低音セクションと高音セクションにクリアトーン施工、
シューシャインにてファイリング。

センターピン交換後に潤滑剤塗布。
バットとそれ以外のセンターピンで潤滑剤を使い分けるようにしています。

ダンパースプーンの磨き直しと潤滑。

ダンパーレバースプリングの潤滑。

ジャック奥側の角を潤滑。

キーピンの錆
低音側に集中していたのは
バランスキーピンの錆。

バランスキーピンの交換
特に錆の酷いバランスキーピンは交換して
残りは磨き直しました。そのあと潤滑処理。
バランスキーピンと鍵盤側バランスホールの状態が悪いと
良いタッチが得られません。

アクションをセット

クニユキピアノロゴ
アクションをセットし調整を終え仕上がりました。

これまでが酷いスティック状態でしたので
フレンジがスムーズに動く様になって
タッチは軽快に、鳴りも良くなっています。
まったく効いていなかったバットスプリングの抵抗を
指先に感じる事が出来ます。

しかし
出来るだけ丁寧に修理、調整していますが
今回は思っているほどには良い状態になってくれません。
音にもタッチにも腰がありません。
原因は
コルグ消音ユニット
後付けの消音ユニット...
消音バー(ストッパー)が邪魔をして
レットオフがかなり広い状態にしか出来ません。
もちろん消音バーの取付けを見直して
限界までレットオフを狭く出来るようにしてはいるのですが
コルグ(テクニクス)の場合
消音バーの回転軸の固定部分に遊びが出来てしまう構造なのと
消音バー自体のたわみの分も加わり、
さらにピアノ側の季節変化分も考慮した調整にすると
かなりレットオフを広げておかないとなりません。
消音ユニットは電子ピアノで代替えするようにして
ピアノに余計なものを取付けず
元の状態に戻せば、もっと良い音とタッチのピアノになりそうです。

ピアノ防湿器ダンプチェイサー
スティック修理後に再発しないよう

ピアノ防湿器ダンプチェイサーを取付けました。

スティック修理のご依頼は非常に多いです。
ピアノは適湿、適温で管理して頂かないと
快適にご使用頂けなくなってしまいますので
湿度、室温、ある程度気にかけてくださいませ。

フレンジのトルクが適正でない状態のまま
どれだけ調整しても、良い状態にはなりません。
例えるなら、汚れ水垢、鉄粉だらけのまま
自動車にワックス、コーティング掛けしているような状態です。
下地を綺麗にした上で、ワックス、コーティングの効果が生きてくる訳ですから
まずは調整のベースとなる鍵盤からアクションまでを
理想的な状態にしておく事が
良いタッチと響きのピアノに仕上げるために必要不可欠です。

 

 

渡辺ピアノ調律事務所
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グランフィールの取付け(EARL WINDSOR)

エンブレム
アップライトピアノに
グランドピアノのタッチと響きを再現可能な「グランフィール」
EARL WINDSOR(フローラピアノ)W113に取付けました。

このピアノは以前、湿気にやられスティックぎみで
音の出難い鍵盤が散見されるピアノでしたので
以前こちらでセンターピンの全交換や
鍵盤の前後ブッシングクロス貼り替え等々を済ませてあり
アクションの動作は快調です。

2人のお子さんがご使用のピアノで
レッスンも進んでいくにつれ
次第にトリルや連打の出てくる曲を弾くようになり
普通のアップライトでは弾き難い場面が出てくるように...

という訳でグランフィールを取付ける事になりました。
夜用の電子ピアノをお持ちですので
施工期間はそちらで凌いで頂き、ご不便お掛けしますが
取付け後は快適な縦型グランドピアノになります。

バット加工
ハンマーバット加工。
ジャックを素早く動作させる為に不可欠な作業です。
バットスキンはオリジナルのものが問題ないレベルですので
そのまま再利用します。

ドロップスプリング
グランドピアノのドップスクリューに該当する部品を追加。
アップライトピアノなのにグランドピアノのような華のある響きを得られます。

レペティションスプリング

ジャックの手前に新たに追加されたレペティションスプリング
これまでアップライトピアノに足りなかった部品の一つです。

グランフィール取付け完了
グランフィールパーツの取付け、加工、調整が済んだら
お客様の元にアクションを納品して調整作業を済ませると完成です。

これまで弾き難かった連打やトリルが弾きやすくなっています。
グランフィールは連打やトリルの弾きやすさも魅力ではありますが
某K氏も言うように、「音が途切れる事なくレガートが弾ける」
というのも重要なポイントです。
アップライトのダンパーはハンマーのストロークの
おおよそ1/2のあたりで効きはじめるようになっています。
そしてアップライトは
鍵盤を一度元の高さまで戻しきらないと原則次の打鍵が出来ません。
すると鍵盤を完全に元の位置に戻し切る前に止音されてしまうので
レガートを弾こうとした際、僅かに音が途切れるという事も起こります。
グランフィールでは、グランドピアノと同じ様に
鍵盤を戻しきる前に次の打鍵が可能になっていますので
レガートを弾く場合にも有利と言えます。
アップライトピアノをグランドピアノ化するという事は
様々な奏法においてそのメリットを享受出来るのです。

グランフィールの取付け(EARL WINDSOR)@東京都世田谷区

 

「グランフィール」については
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タッチレールの取付け(ヤマハA1S)

お客様からヤマハの小型グランドピアノ、A1Sの鍵盤が重たいので
タッチレールを取付けたいとのメールを頂戴し取付けました。

購入当初から鍵盤が重いと感じておられ
何人もの調律師さんに診てもらったが改善せず半ば諦めていたところ
タッチレールの存在を知ったようです。

お伺いして、鍵盤のダウンウェイトを計ると
低音セクションが70g前後
中音セクションが65g前後
高音セクションが60gから65gくらいで
調整が十分でない事を伺わせる値です。
また隣り合う鍵盤の重さのバラツキはかなりあります。

ヤマハA1Sの全体整調
初回訪問時は、ここ数年していなかった「調律(ピッチ上げ)」と
おそらく十分に手が入っていないであろう全体「整調」を。
一日かけて整調した後で
ダウンウェイトは全体に7gほど軽くなりました。
ピアノアクションが正常になったうえで、タッチレールを取付けます。
この日はタッチレール製作用に採寸をして
後日、仕上がったタッチレールを取付けます。

鍵盤押え
オリジナルの「鍵盤押え」。
この鍵盤押えと置き換えるかたちでタッチレールを取付けます。
元の鍵盤押えやネジ、ナット類を保管しておけば
いつでも元の状態に戻す事が可能です。

タッチレール
鍵盤押えがあった部分にタッチレールがセットされた状態。

分銅
あとは鍵盤鉛の調整と同じように
分銅を使ってダウンウェイトを調整していきます。
スプリングキャップを回すだけですので
鉛に比べ圧倒的に早く調整が進みます。
現代の標準的なダウンウェイトは50gですが
今回はお客様と相談の結果、気持ち重ために設定しました。
最低音を55gから54g、
中音セクションで53gから52g、
高音セクションで51g50gとなるように仕上げました。
隣の鍵盤との重さのバラツキもきっちり揃えてます。
お客様がスタジオやホールで弾くピアノが
ベーゼンドルファー、ベヒシュタイン、ヤマハ、スタインウェイ、が主だそうで
様々なコンディションのピアノを弾く事を念頭に、それらに対応出来るよう
全体に少し重めが良いとの事でした。
一応、この設定でしばらく試して頂き
後で「もう少し重めに」「もう少し軽めに」
という事になったら、変更出来るようなセッティングにしてあります。
タッチレールであれば、あとからウェイトの微調整も容易です。

タッチレール取付完了
タッチレールの取付けが完了です。

試弾
お客様にチェックして頂き、OKとの事。

A1のような超小型グランドになると
鍵盤長も大分短くなっていますので
鍵盤手前で同じ10mm下りるのでも
フルコンのそれと比べ傾斜がきつくなってしまいます。
この時、ヤマハの頭の平たいキャプスタンがボトルネックとなり
コントロール性が悪く、押し込むようなタッチに感じます。
次回以降、キャプスタンにR-bitのようなアタッチメントを付けるか
スタインウェイのキャプスタンに変更してやると
さらに弾きやすいピアノになりそうです。
また、整音などやらなければいけない作業が多々ありますが
次回以降の調律時、これらに手を付けていければと思います。

グランドピアノの鍵盤の重さでお困りの方。
タッチレールを検討されてみては如何でしょう。

 
タッチレールの取付け(ヤマハA1S)@東京都港区

 
タッチレールに関しては以下を参照ください↓
http://www.piano-tokyo.jp/touch-rail.html

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
url  http://www.piano-tokyo.jp/
weblog  https://www.piano-tokyo.jp/blog/