割れた白鍵の貼り替え
いつも調律に伺っているお客様から
「うっかりモノを落として鍵盤を割ってしまいました...」と
ご連絡を頂いて行ってみました。
派手にやっちゃったようですね。
VICTOR(ビクター)のアップライトピアノです。
これだけの割れ方をするって
いったい何を落としたのか聞いたところ
「アイロン」
だそうです。
アイロンを取りに行く通り道に
ちょうどピアノが置いてあって
ピアノの鍵盤蓋が開いていた為に
起こってしまった事故のようです。
使用頻度の高い中音域なので
いったんお預かりして、修理完了後
すみやかにピアノに戻します。
ピアノから取り外して確認すると
上面の仕上材だけでなく
鍵盤木部まで割れていました。
白鍵は濡らしたウェス+スチームアイロンにより
熱とスチームで剥がします。
綺麗に剥がれました。
すぐに新たな白鍵上面を貼りたいのですが
鍵盤木部本体が割れているので
まずはこちらを圧着します。
交換用の新しい白鍵です。
このピアノは上面と木口が一体なので
替えのシートも一体型を使用しました。
上面と木口が別体の場合もあります。
白鍵上面及び木口は
「アクリのアセトン漬け」を使って接着します。
アセトンを塗ってから圧着します。
乾きが非常に速いので素早く行います。
白鍵上面が完全に接着されたら
新たに貼った白鍵は若干オーバーサイズなので
ヤスリで削って仕上げます。
白鍵の貼り替えが完了。
綺麗に仕上がりました。
2014年1月5日
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カテゴリー:ピアノ修理
Happy New Year
明けましておめでとうございます。
本年も何卒宜しくお願いいたします。
新年は1月6日(月)より通常営業となります。
2014年1月1日
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カテゴリー:ピアノ調律
虫害、箪笥もピアノも同じように対策を
ちょうど20年、調律をせずに放置した
ヤマハの UX30Bl を観て欲しいとのことで
お伺いしてピアノの中をチェックしたところ
鍵盤下のバランスブッシングクロスが
虫害にあっていました。
車に新しいバランスブッシングクロスのストックがあったので
その場で交換しました。
虫に食われたブッシングクロスを取り除いて
棚板を掃除してから、新しいブッシングクロスに交換。
ピアノの中は「フェルト」「クロス」が多用されてますので
箪笥、クローゼットの中の衣類と同じように
虫害にあってしまう事があります。
ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシという
「カツオブシムシ類」等の幼虫が犯人です。
尚、成虫は食べません。
ピアノ内部の虫害を阻止するには
ピアノ用の防虫剤をピアノ内部に配置する訳ですが
専用品でなくても
このような一般的な引出し用の
防虫剤を複数用意しておいていただければ
調律の際に鍵盤下の棚板に配置いたします。
半年ないし1年ごとの調律の度に
この防虫剤を交換していけば安心です。
尚、鍵盤下に配置する防虫剤は
「無臭」のものにしないと
鍵盤の隙間から防虫剤の匂いがすることに
なりますので気をつけてください。
2013年12月12日
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カテゴリー:ピアノ調律
漆喰塗りたて注意 Wet Paint
最近割と見かけることが多くなった漆喰の塗り壁。
見た目の風合い、調湿性?など
採用する方の理由は様々でしょう。
家を新築して、壁の仕上がりに
漆喰を採用している方のお宅に
何件か調律に伺っています。
問題が起きる条件は概ね以下です。
- 漆喰を塗ってから日が浅い。
- 塗り立ての部屋にピアノを搬入している
この条件を満たすと
もれなくピアノは湿気まみれになり
スティックを起こして
アクションは満足に動作しなくなるようです。
調湿を期待して導入したはずの塗り壁ですが
塗ってから少なくとも
三ヶ月程度は壁が大量の水分を吐き
部屋の湿度が 90パーセント近く
なることが多いようです。
湿度が 90パーセント近くある状態が
連日続いてしまうと
もうピアノはまともに動作しなくなってきます。
塗り立ての部屋に入ると
部屋がじっとりとしていることが
体感出来るほどです。
漆喰の出す過剰な水分により
上記写真のようにハンマーその他は
スティックを起こし元の位置に戻れなくなってしまいます。
三ヶ月程経って訪れても写真のように
まだ湿度が70パーセント近くあり
かなり湿気が多い状態が続くようです。
この時は秋の快晴で、外の湿度は40パーセント台ですが
部屋の中はまるで梅雨時のようです。
漆喰を採用した家の湿度の経過を観ていると
大体三ヶ月程で少し乾いてはくるが
まだ完全とは言えず
安全をみるとするなら塗ってから
4ヶ月、5ヶ月、半年程待つ必要がありそうです。
経過は湿度計を観ていれば
手に取るように分かるかと思います。
よって、家の壁に漆喰を塗った場合
塗ってから少なくとも三ヶ月、
場合によっては「半年はピアノを搬入しない」
ようにすれば間違いなさそうです。
尚、完全に乾いてしまえば
漆喰の壁でもこれといった問題は起きません。
塗ってからしばらくの間は
かなりの水分を吐き出すことを念頭におき
導入すればトラブルは回避出来ます。
2013年11月17日
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カテゴリー:ピアノ調律, ピアノ修理, その他
LORIS というピアノ
まだまだ出会ってないメーカーがあるもので
このピアノメーカーもお初にお目にかかります。
「LORIS(ローリス」というピアノ。
型番は LU-2 。
84年の4月製造と読み解きます。
お客様から聞いた購入時期や所有年数と辻褄が合います。
ピアノ本体は30年ほど経過しているですが
コルグの消音ユニット(初期型)が後付けされていて
現役で活躍しております。
消音ユニットが付いている...のは良かったのですが
消音(ヘッドホン使用)時
ペダルを踏んでいないのに
ペダルが効きっぱなしのように
なってしまったとの事。
原因は、ペダルのセンサーがずれてしまった為のようです。
正しい位置に修正して、あっけなく元通りに。
このタイプのセンサー、
前後位置や高さが容易に調整出来る反面
稀にずれる事があるようです。
今回はお客様が引越をした後なので
それも関係しているかもしれません。
もう一点、
「1ヶ所、音が出たり出なかったり出にくかったりするんです」
との事。
原因はハンマーバットフレンジのセンターピンが
サイドに大きくズレてしまった為
ハンマーがグラグラになっていて
打弦時に毎回好き勝手なところを
叩いてしまう状態だった為です。
センターピンを新しいものに交換し
ブッシングクロスを適正トルクにし
バットプレートスクリューを適正トルクで
且つしっかりと締めて元通りになりました。
前回は1年程前に別の方に調律してもらったそうなのですが
いかにもハンマーへの針入れがされていないような
荒れた音を出していたので
少しハンマーに針入れをして音色を整えたところ
ようやくピアノらしい音になってくれました。
なかなかどうして悪くないです、LORIS 。
2013年11月13日
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カテゴリー:ピアノ調律, ピアノ修理
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