グランフィールの取付け(BELTON(ベルトン)NO.22)
2本ペダルのBELTON(ベルトン)NO.22に
グランフィールを取付けました。
環境が悪く、メンテナンスもされず(調律はもちろん、修理も)
放置されていた期間が長く
各部不調でしたので、修理しながらの取付けです。
梅雨時、夏場も除湿されることなく
たっぷりとピアノに湿気を吸わせ、響板は南側の窓に半分かかっているため
時間帯により直射日光があたり過乾燥となり
冬場の乾燥もマンション(フロアが高い)ということもあって
ピアノが「水分を吸う、水分を吐きだす」を長期に繰り返した結果
フレンジは酷いスティックが7割、
ガタが3割という状態です。
トルクを全て規定値に揃えるために
センターピンを全交換しました。
トルクゲージを使ってトルクを規定値に揃え
タッチと音色のバラツキが無いよう仕上げます。
ダンパースプーンは錆や傷などにクロスのカスが溜まっていき
ザラザラになり、それがヤスリの役目になって
ダンパーレバークロスを削って穴を掘ります。
劣悪な環境下で、長期間弾かない時期があって
また使いはじめるような場合にこの状態を招きやすいです。
ダンパースプーンの頭は磨き直して、
ダンパーレバークロスは全て貼り替えました。
レギュレチングスクリューは錆びて回らなくなって折れてしまいます。
錆びたスクリューは交換します。
ピアノアクションの問題を修正してから
グランフィールパーツの取付けに着手です。
よくある質問ですが
「古いピアノですが、グランフィールを取付け出来ますか?」
との問い合わせがあります。
むしろ古いピアノのほうが取付け要件を満たしている事が多いです。
逆に最近の安価な中国製エントリーモデルなどは
ダンパーストップレールが次高音までしかなかったり
ジャックストップレールがレギュレチングレールと共用になっていたりと
イレギュラーな仕様になっている事が多いです。
むしろ古いピアノのほうが、構造はスタンダードで
グランフィールとの相性が良いケースが多いです。
ベルトンにグランフィールパーツが取付けられ調整が終りました。
アップライトピアノの鍵盤は底まで(下面まで)
ほとんど抵抗なくストンと下りてしまいます。
レットオフ時の抵抗は、97g程度です。
いっぽうのグランドピアノでは
鍵盤を8割ほど下げたところに抵抗感があります。
グランドピアノの鍵盤のレットオフ時の抵抗はおよそ150gほど。
グランフィールが取り付いたアップライトピアノは
グランドピアノと同じ150gの抵抗を
鍵盤底面で得られるようになります。
これにより、普段はアップライトで練習していて
レッスンや本番のステージでのみグランドを演奏するような方々が
グランドピアノの鍵盤の抵抗感に慣れていない為に
音が鳴らずに抜けてしまうといったミスを減らせるようになります。
グランフィールは連打性のみならず
このような面でもグランドピアノに近いのです。
グランフィールは
「グランドピアノの響き」が得られるのも魅力の一つです。
普通のアップライトピアノは
およそ5倍音くらいまでしか倍音が出ていないために
どうしても響きに華がありません。
グランフィール取付け後は
6倍音、7倍音、8倍音が出る事が計測により確認されています。
この豊富な倍音が、グランドピアノ特有の
華のある響きを再現することに貢献しているのです。
近々開催される「2016楽器フェア」では
前回フェアに引き続き、藤井ピアノサービスさんのブースに
グランフィールピアノが出展されます。
「グランフィールってどんな感じ?」と気になっていた方は
グランフィールの弾き心地をお試し頂ける絶好の機会ですので
お時間のある方は行ってみては如何でしょうか。
渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail info@piano-tokyo.jp
url http://www.piano-tokyo.jp/
weblog https://www.piano-tokyo.jp/blog/
2016年10月13日
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カテゴリー:グランフィール
ヤマハのグランドピアノのタッチをなめらかに
以前にお客様のご希望でタッチウエイト調整をした
ヤマハのグランドピアノ C3AEのタッチを
さらになめらかな感触にするために
キャプスタンを交換しました。
これはヤマハのグランドピアノに
オリジナルで採用されているキャプスタンです。
「頭の形が平たい」ので
ウイペンヒールを持ち上げていく時に抜けが悪いのです。
そこでキャプスタンの頭に絶妙なアールがかかっている
スタインウェイの純正キャプスタンに交換します。
便利な道具を使って、オリジナルのキャプスタンをするすると抜いていきます。
右の3つがオリジナルのキャプスタンで
左の3つが新たに取付けたスタインウェイのキャプスタンです。
左のキャプスタンの頭の部分には丸みがあるのが分かります。
全てのキャプスタンを交換して、整調をやり直して完了です。
鍵盤の抜けがよくなり、タッチが滑らかになって
コントロール性が向上します。
ヤマハのグランドピアノをお使いの方で
鍵盤に押し込むような感覚や違和感を感じている方々に
オススメの作業です。
今回行った方法以外に
キャプスタンを交換せずに
頭の部分に専用のアタッチメントを取付け
丸みを得る方法もあります。
キャプスタンの交換単体の作業でも効果は感じられますが
タッチウエイト調整と併せてアクション全体で修正してやると
一層弾きやすいタッチのピアノになります。
渡辺ピアノ調律事務所
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2016年9月30日
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カテゴリー:その他
除湿器がフル稼働
もうずっと雨ばかりの東京。
梅雨の時期より梅雨らしい天気が続いています。
半日もすると除湿器のタンクは満水に。
梅雨の時期もそうですが
ここ最近のように気温が低く湿度が高いようなときに
除湿しようとエアコンを入れると
確かに湿度は下がりますが室温まで下がってしまい
寒くて仕方ありません。
(そうならないエアコンもありますが)
このような天候の場合には、除湿器が必須。
除湿器の場合は、むしろ少し室温が上がりますので
寒くて湿度が高いような日の除湿には最適です。
除湿器を可動していて室温が上がりすぎるような場合は
同時にエアコンを可動しておけば
相殺されてちょうど良い室温になるとともに
除湿の観点からも好都合です。
アップライトピアノをお使いであれば
ピアノ本体にダンプチェイサーも取付けておくと鬼に金棒です。
(ダンプチェイサーだけに除湿を頼っているピアノよりも
部屋ごと除湿しつつダンプチェイサーも併用している
ピアノのほうが整調も調律も安定しているようです)
このところの長雨で、日々の調律に伺っていて感じる事は
除湿しているお宅のピアノとそうでない場所のピアノとで
コンディションに歴然と差があるということ。
まったく除湿していない環境のピアノは
中音を中心にかなりピッチが上がってしまい
タッチは重くなり、鳴りも悪くなっています。
一応除湿しているけれど
感でなんとなくエアコンや除湿器を入れている環境の場合
まったく除湿していない場合よりは大分ましですが
湿度計を見て運用している訳ではないので
本人が思っているよりも実際には除湿出来ていなかったり
場合によっては過剰に除湿しているケースもあります。
ある程度信頼の出来る精度の「湿度計」を設置し
その値が適湿となるように除湿されている環境のピアノは
季節や天候に左右されることなく
常に軽快なタッチを維持し、鳴りも良く
調律の変動も最小限に抑えられています。
長期的にみると
ピアノの寿命にも影響してきますので
今お使いのピアノに少しでも健康で長生きしてもらいたい方は
日々の湿度管理を怠りなく。
天然の素材が豊富に使われ
環境の変化に敏感な反応をしめすピアノは
生き物なんだなぁとつくづく感じます。
ピアノの調律を安定させる為に ~湿度管理~
渡辺ピアノ調律事務所
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2016年9月23日
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カテゴリー:ピアノ調律, その他
除湿の効果があったピアノ3台
昨年、公共施設のアップライト(U1)2台にダンプチェイサーを取付け、
取付け後はじめての調律にいきました。
この建物は設備が古く、エアコンではなく「クーラー」です。
その為、冷たい風が出るだけで「除湿」はされないので
梅雨時から夏の間にかけて、湿度70パーセント超えの状態が続きます。
この時期はピッチが20centほど上がってしまい
オクターブはウネウネになり
反対側の季節には20centほどピッチが下がり
困った施設担当者がダンプチェイサーの導入を決意した経緯です。
効果はかなり出ていて
ピッチの上昇は+4centほどにおさまっていて
調律の狂いは取付け前より格段に良いです。
もう一台は戸建てのグランドピアノ C3E で
昨年まではとくに除湿等はしていなくて
前回作業時は25度の61パーセントで
DWが60g前後で鍵盤が重ためでした。
今年はエアコンと除湿器を導入なさっていて
作業時は室温28度、湿度46パーセントで
DWが48gから52gくらいまで下がり
前回よりDWは10g近く軽くなっていました。
適湿で保たれることで
フリクションが下がり、DWが小さくなり
UWが大きくなるので反応の良いタッチになります。
調律が狂いやすい、タッチが重いといった場合、
高過ぎる湿度が原因となっているケースが少なくありません。
環境を改善するだけで、問題が解決してしまう場合も多いです。
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2016年8月29日
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カテゴリー:ピアノ調律, その他
グランフィールの取付け(ペトロフP118レンナーアクション)
レンナーアクションのペトロフ P 118 に
グランフィールを取付けました。
ジャックは標準的なアクションと同じ70mmで
ノーマルタイプのレペティションスプリングを無理なく取付け可能です。
3年前からグランフィールを取付けたいと考えていたお客様、
念願叶ってようやく取付ける事が出来ました。
アップライトピアノでありながら、グランドピアノの響きとタッチが得られ
さらにピアノが楽しくなりますね。
レンナーアクションのペトロフ P 118 は本当に弾きやすく、
サンプルキーのウエイトを調べてみました。
- C1key DW50g UW30g BW40g F10g HSW10.9g
- C2key DW48g UW32g BW40g F8g HSW10.7g
- C#2key DW53g UW34g BW43.5 F9.5g HSW 10.4g
- C4key DW46g UW30g BW38g F8g HSW10g
- C#4key DW51g UW34g BW42.5g F8.5g HSW10g
- C6key DW44g UW32g BW38g F6g HSW8.7g
- C#6key DW47g UW36g BW41.5 F5.5 HSW8.8g
- A7key DW47g UW34g BW40.5 F6.5 HSW7.7g
DWは40グラム台後半から50g程度、UWは30g超え、
BW40グラム前後、スティック無し、
軽快なタッチは数値にあらわれてます。
「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html
グランフィールの取付け(ペトロフP118レンナーアクション)@東京都世田谷区
渡辺ピアノ調律事務所
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2016年8月19日
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カテゴリー:グランフィール
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