カワイKG-2Eのタッチウエイトマネジメント
カワイのグランドピアノの鍵盤が重い...
このままでは疲れてしまったり弾きにくいので
中村式タッチウエイトマネジメントで軽くしました。
ピアノはカワイのKG-2E。
BWは平均で45g程度で、重たい鍵盤では50g超えと重量級です。
これを最終的にBW38gとなるよう調整していきます。
カワイなのでプラ製のフレンジがスティックぎみになっていました。
ウイペンフレンジではトルクが最大8g。
作業を行う中で平行してスティック修理も済ませます。
あがきは10.3mmから10.4mmで
これをこのままにするか10mmに修正するかは調整後に決めます。
作業後ARが下がるので、作業後のARと鍵盤手前距離から
必要なあがき量を出して、実際のアフタータッチも確認しながら決定します。
現状はSRがAvg.6.3、ARはAvg.5.5
スプレッド寸法は113でした。
オリジナルのHSW。
低音は指標6から指標8とアップライトのような軽さでバラツキは大きいです。
一般的にグランドピアノの場合は低音セクションのハンマーは重たくなる傾向がありますが
何故かカワイ系は低音のハンマーが軽いものがあって
以前作業したディアパソンも低音のハンマーが軽い傾向でした。
中音から高音にかけては指標9.5から11と重めです。
オリジナルのサンプル音での平衡等式です。
BWは大きく、Fも大きいのでDWが増えています。
FWは中音と高音でシーリング値もしくはシーリング値超え。
HSWはやはり中音から高音にかけて大きく
SRは全体に高めの傾向です。
41keyを3要素関連表で確認してみると
HSW指標が9でSRが6.3の時
FWをシーリング値マイナス3gにするには
BWが48gとなるようですが
実際のBW41.5gですので
この鍵盤の鍵盤鉛が多過ぎる事が考えられます。
こちらは40keyでのシミュレーション。
HSWを0.3g軽くしてBWが45gから43gに。
ヒールへのスペーサー挿入でSRが0.4下がると想定してBWは43gから39gに。
もう一段階SRを下げる為にパンチングの半カットによりBWは39gから35gに。
最後に鍵盤鉛調整を行い下がり過ぎたBWを38gまで大きくし
同時にFWはシーリング値マイナス3gを達成出来る事が確認出来ます。
HSWの調整後です。
赤が調整後で黒がオリジナルです。
指標9を目安としていますが
低音セクションは元々が軽過ぎるので
バラツキをならしつつ重めに寄せるのが精一杯です。
最後に鍵盤鉛調整を行う際に、全鍵同じSRでBW38gにした場合
低音のHSWが軽い分、低音の鍵盤が中音と比べ軽く感じてしまう可能性があるので
低音は最低音にかけて少しずつBWを大きくする事で
弾いたときに中音と比べ軽く感じないようにします。
中音から高音にかけては指標9で綺麗に揃いました。
鍵盤鉛は一番外側の鉛を抜いて内側に移動する効率的作業を選択します。
CoGはどう頑張っても0.376が限界で、効率的作業なのでこの辺りの数値は目を瞑ります。
最終的にBWは45gから38gまで16パーセント軽くなり
動的重さも7パーセント軽くなりました。
6.3だったSRは作業後5.7に、ARは5.5から5.3に下がりました。
作業後のARから得た最終的に必要なあがき量は10.3mmでしたので
ほぼオリジナルのあがきそのままで若干修正するだけで済みました。
アクションを本体におさめて弾いてみた感じは
カワイと思えないくらい軽快なタッチに仕上がり
これなら何時間でも弾いていられそうです。
タッチウエイトマネジメント(Nakamura Touchweight Management)
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