ダンプチェイサーを初めて導入する際の注意点

湿気でお困りのユーザーさんのピアノ(ヤマハU3H)に
調律にお伺いしたのと同時に
ピアノ防湿器「ダンプチェイサー」を取付けました。

ダンプチェイサー

ダンプチェイサーは
響板周りの湿度を安定させて
調律(音律、ピッチ)を安定させる装置です。
グランドピアノの場合は、特徴そのままに機能しますが
アップライトピアノに取付けた場合に限り
箱(ケース)の内側にダンプチェイサーを取付けるため
響板周りのみならず
アクションやピン板といった
ピアノ全体を湿気から守るという
ありがたい副産物がもれなく付いてきます。

 


ダンプチェイサーは

初めて導入する場合のみ、少しだけ注意が必要です。
私の場合に限っては以下のようにして頂いてます。

  • 1. 取付け(設置)は、1年365日いつでもOK
  • 2. 初めて導入される方の場合に限り、電源を入れるのは1月から2月頃に
  • 3. 製品のみの販売はせず、必ず取付けとセットでご提供

 
1. に関しては、このままです。
お客様が取付けたい時に取付け、設置出来ます。

 
2. について、ここが大変重要です。
ダンプチェイサーは想像以上によく効きます。
その為、ピアノが余剰な水分を吸ってしまっている時に
導入してしまうと、ピアノから急激に水分が抜けることになり
響板周りの割れ・剥がれや
アクション、外装その他の反り、割れ、剥がれといった
トラブルを招きかねません。
実際に、お客様が個人的にどこかで
ダンプチェイサーを購入してきて自分で設置、
梅雨時や夏場にダンプチェイサーを導入したために
各部接着の剥がれ、木部の反り、割れを
誘発させてしまった例を何件か確認しています。

 
湿気を防止する装置ですので
梅雨時や夏場にすぐに導入したいという
お気持ちは分かるのですが
既に春以降の湿気(水分)を
吸ってしまっている状態のピアノに
いきなりの除湿は、むしろトラブルを招く危険もあります。

 
そのようなトラブルを避けるための
慎重な導入の仕方として
私の場合に限っては
1月から2月あたりのもっとも乾燥した時期に
電源を入れてもらうようにしています。
1月、2月は、もっとも乾燥している時期で
春 → 梅雨 → 夏 → 秋 → 冬と経過して
この時もっともピアノから水分が抜けています。
このタイミングで電源をいれます。
この時はまだ乾燥しているので
ダンプチェイサーは作動しませんが
「3月中旬以降、じわじわと湿度が上がってきますが
これ以降は吸わせない」という導入方法により
ピアノがビックリせずにすむので安心、安全です。
ピアノという楽器はは思いのほかデリケートですので
慎重過ぎるくらい慎重でいいとおもいます。
初回導入の時期だけご注意頂ければ
その後は、自動的に管理されますので
手間が掛かりません。

 
時々、ダンプチェイサーを取付けたら
「とんでもなく調律(チューニング)が狂ってしまった」
と仰る方がおられますが
上記のタイミング以外で導入された可能性アリです。

 
ベストなタイミングで導入した場合でも
それぞれの環境やこれまでの経緯によって
導入後、半年から1年くらいは
調律が狂いやすい場合がありますが
導入後1、2回程、調律した後くらいからは
次第に調律も安定し、音色とタッチは軽快になります。

 
3. は、2. とも関係してきますが
お客様が自分で購入して取付けた
ダンプチェイサーを拝見していると
正しい(もっとも効果が出る)位置に取付けていなかったり
適切でないタイミングで導入した為に
逆にピアノを痛めてしまっているケースがあるのです。
よって、安全に効果的にお使い頂けるよう
製品のみの販売をせずに、取付とセットで
お引き受けするようにしている次第です。

 
正しく導入し、正しく取り付ければ
ダンプチェイサーは、多湿な日本での
ピアノライフを強力にサポートしてくれます。

 
ダンプチェイサーについては以下のページもどうぞ↓
http://www.piano-tokyo.jp/dampp-chaser.html

 

 
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