グランドピアノの鍵盤の重さを調整(ディアパソン)
ディアパソンのグランドピアノの
タッチウェイト調整をしました。
お客様から作業のご依頼のメールを頂戴し
「とにかく重くて弾けないので、軽くして欲しい」
との事でした。
ご自身で10円玉を使いダンパーを踏んで
ダウンウェイトを測ったところ
全域約70グラムくらいだそうです。
色々お伺いしたところ
- これまで何人かの調律師さんに鍵盤を軽くしてもらったが改善しない
- 前回来てもらった調律師さんに鉛を追加してもらったが一向に軽くならない
そんな状況のようです。
本日お邪魔してピアノを少し弾かせて頂き
すぐにタッチが重くなっている
おおよその見当がつきました。
今回のピアノの場合
慢性的な湿気によるスティックが主な原因だと思われます。
鍵盤を下ろすときのもっさりした抵抗感と
下ろした鍵盤が上がってくる際の頼りなさが
それを物語っています。
ピアノ部屋は一階で
エアコン無し、除湿器無し、
聞くとやはり除湿などはした事が無いご様子。
納品から何年も
梅雨時、夏場の湿気にさらされ続け
冬の乾燥したこの時期になっても
スティック状態から抜け出せない状態となっています。
軽度のスティックの場合
冬になると調子を取り戻す場合がありますが
慢性化している場合は
スティック状態から抜け出せないケースも多いです。
午前中いっぱいは
フリクションロスを減らす作業をして
お昼の段階で 70グラムくらいあったDWは
60グラムまで軽くなりました。
アクションを正面から見ていた感じでは
全て木製のアクションに見えたのですが
後ろ側を見ると
ウィペンフレンジはプラスチックでした。
プラのフレンジはスティックを起こしやすいのと
タッチ感を考えると木製フレンジに交換したほうがよさそうです。
今回はひとまず潤滑で済ませます。
追加したという鉛は
88鍵、横一列に取付けてありました。
通常は鍵盤ごとに取付ける位置が違ってくる筈ですが。
そしてピアノ全体がスティック状態のまま
鉛を追加している為
ダウンウェイトは軽くなっておらず
下りたあとの鍵盤は
スローモーションで上がってくる状態になっていました。
午後は整調の見直し作業をして
さらに5グラムほど軽くなりました。
午前中の作業とあわせて
トータル15グラム軽くなり
70グラムあったDWは、55gとなりました。
頼りなかったアップウェイトも
25グラム以上確保出来ました。
追加されていた鉛はとりあえず付けたままにしてありますが
これは外してしまってもいいかもしれません。
そうすると、もう少し
アップウェイトが出て、弾きやすくなりそう。
「軽い!軽いです!」
大変喜んで頂けました。
70グラムから55グラムになりましたので
劇的に軽く弾きやすく感じると思います。
「音色も明るくなったみたいです!」
アクション稼動部のロスを取り除きましたので
部品の走るスピードが速くなり
結果「鳴り」がかなり良くなって
音量が増し、音色も明るくなりました。
透明感のある音が出ていて、なかなか良いピアノです。
このピアノは鍵盤を重くしている原因が見立て通りで
調整に対する反応が素直でしたので
比較的容易に15グラム軽くすることが出来ました。
もしあまり変化しない場合は
別の方法をいくつか考えていたのですが
とりあえず調整のみでいけそうです。
グランドピアノの鍵盤の重さを調整(ディアパソン)@埼玉県川越市
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