Home > よくある質問 > 調律はどのくらいの頻度でやれば良いの?

良くある質問(ピアノにまつわる質問集)一覧

調律はどのくらいの頻度でやれば良いの?

ピアノ調律中の様子
ピアノの調律頻度ですが、一般家庭でごくごく普通にお使いいただく程度でしたら、1年に1回程度でもいいかなと思います。

日本では「家庭のピアノの調律は年1回」というのがなんとなく定着しています。
誰が言い出したのか日本独特の慣習です。

「私、音が狂ってるかよくわからないんだけど」という人も少なからず居られますが、そのようなタイプの人も年1回くらいでいいと思います。
でも実はこれ、本当は最低限の頻度なんです...
頻繁に弾く方、毎日1時間以上演奏する方、音の狂いに敏感な方、またグランドピアノをお使いのヘヴィーユーザーの方々は1年に2回程度、調律することをオススメします!
実際に私の顧客で言えば、一年に2回する方が結構な人数います。
中には年3回、年4回くらいのペースでメンテナンスなさる方もいるんですよ。

音律の狂いの気になり具合って個人差が大きいです。
「嘘でしょ!?」ってくらいに音律が乱れているのに何食わぬ顔で演奏出来ちゃう人もいれば、僅か2セント低いのを見事に聴き分ける繊細な方もいます。
「狂っているのは気づいてるけど平気で弾ける人」もいれば「狂っているのが気になって仕方がない」という人も。
なので必ずこれくらいのペースでメンテナンスしてくださいというのは実際のところありません。

音叉
コンサートホールにピアノの演奏を聴きにいった時に、途中休憩の時間に調律師さんがピアノの調律を修正しているのを見たことがあるかもしれません。
リハーサル、本番の前にチューニングしたピアノが、もう演奏しているそばから狂いはじめるのですね。
と言うと、「いやいやそれはたくさん弾かれたからでしょ」という方がいますが、もちろんそれもあります。
ですが午前中に調律して、そのまま全く弾かれることなくピアノをそっと置いておき、夜に調律を確認するとあの音、この音、微妙にズレているものなんです。
他の弦楽器と同じで、チューニングが狂うのは弦が張られている楽器には付き物です。
ギターを弾く方も居られると思います。
午前中にチューニングしたギターは、夕方にはもうチューニングが狂っているのを体験済の事と思います。
鉄骨フレーム
ピアノは鉄骨が入っていたり、チューニングピンは木に打ち込んであるだけだったり、そもそも弦は鋼線だったりとギターと同列には語れないですが、弦が張られている楽器に狂いが伴うという意味では同じです。
金属部品は温度の変化に敏感に反応し、ピッチは最も簡単に上がったり下がったりします。
弦やチューニングピンは金属ですが、響板や駒、鍵盤、アクションには乾燥した木材がたくさん使われています。
木材はというと湿度の変化にデリケートなまでに反応し変化します。
まったく弾かなくても音律が変化してしまうのは、ピアノに天然の素材がたくさん使われているからなんですね。

作業中の様子
大切なことは「定期的に」継続して調律をするということ。
定期的に行うことで、フレームや弦はしだいに安定し、結果音律の狂いにくい状態となっていきます。
繰り返すことで弦やフレームに正しいピッチを覚えてもらう感じでしょうか。
不定期でメンテナンスしていたのでは、残念ながら音律を安定保持することが難しくなります。
例えば一度調律をしてから次の作業が5年後。
その次が4年後、のような不定期なメンテナンスですと、大きく狂ってから調律することになります。
この場合、せっかく調律してもその後の狂い出しが早かったり、作業後の狂いが大きくなる事があります。

調律は「少ない狂いのうちに次の調律」の繰り返しが、安定した状態を得られる近道です。
メンテナンス頻度を最長でも1年くらいがいいのではと提案するのは、音律が大きく狂ってしまってからの作業では狂いやすいスパイラルに陥るからです。

湿度管理の為の除湿機
同時に湿度管理(梅雨時~夏場の除湿、冬場の加湿)をしていただくと、より安定した状態が期待できます。
お部屋の湿度は通年、相対湿度50%程度に保ってあげるとピアノも喜びます。
コンサートホールやレコーディングスタジオ等では、数日ごとに調律されることも珍しいことではありません。
それほどピアノはデリケートな(アコースティック)楽器です。
けれども一般家庭で数日おきに調整するとなると、費用や時間が膨大にかかってしまい現実的ではありません。
あくまでも1年に1回の調律ペースは必要最低限で、もう少し頻繁にメンテナンス出来るのであれば、それに越し事はありません。

個人的には1年に2回(半年に1回)程度の調律ができるといいかなと思います。
メンテナンスが年1回のピアノを比べるとだいぶ状態は良いことが多いのです。
1年に2回のメンテだと、鍵盤やアクションの調整も年2回となりますので、弾きやすいタッチも維持できますよ。

関連リンク : 調律を安定させる為に

The author is Masami Watanabe

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

Home > よくある質問 > 調律はどのくらいの頻度でやれば良いの?