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良くある質問(ピアノにまつわる質問集)一覧

ピアノって乾燥した部屋が良いんですよね?

乾燥し過ぎもピアノに良くありません。
「ほどほど、ちょうど良い(適湿)」を保つということを心がけましょう。

湿度計
ひとつには「ピアノ乾燥剤」のようなものがある為に、ひたすら乾燥していれば良いという誤解を招くのかもしれません。
冬場などは、むしろ乾き過ぎる傾向があるので、加湿をしないと響板や駒が乾き収縮・沈下してピッチダウンするピアノも多いです。

接着部の膠切れ(にかわぎれ)や木の反りや割れ等、影響は深刻です。
実際には、梅雨(夏季)時と冬季での湿度の差が大きければ大きい程ピアノはダメージを受けます。
関東地方など冬季は連日「乾燥注意報」が出る事が珍しくありません。

もっとも冬季の過乾燥によるピアノへの悪影響は梅雨時・夏場との相関関係にありますので、夏季と冬季で差があればあるほどピアノのダメージは大きくなります。
某国産ピアノメーカーのマニュアルを例にとると、ピアノにとってベストな湿度は50~70%となっておりある程度の湿気も必要なのです。(上限が70というのは少々高過ぎかなと個人的には感じるのと、幅を持たせ過ぎで誤解を招きそうな表現です。
私個人は国産ピアノでしたら室温20度で湿度50%程度、欧州製のピアノの場合、室温20度で湿度40%から45%程度を維持するよう推奨しています)

冬場の乾燥が続く季節に適湿の部屋をつくるためには「加湿器」を使うことが求められます。
冬季(11月から3月)に使用する加湿器はハイブリッド式や気化式のものを推奨します。
逆に絶対に使ってはならないのが「スチーム式」の加湿器で、あっという間に楽器を痛めてしまいます。
湧かした蒸気は結露しやすい為ヤカンや鍋で湧かした蒸気も楽器との相性が悪いので、キッチンで煮炊きする際は必ず換気扇を回し、湧かした蒸気を部屋内にとどめないように注意してください。
加湿器はパナソニックの気化式FEシリーズをオススメいたします。

気にすべきは細かな数値ではなく1年を通じてピアノのあるお部屋の湿度変化が無いよう一定に(室温20度、湿度50%)することです。
もっとも一般家庭は、コンサートホールでもレコーディングスタジオでもないので完璧に湿度を管理することは難しいです。
それでも可能な範囲で気を使ってあげることで湿度を気に掛けていない状態と比べ、ピアノの状態と調律の安定度にかなりの差が出るのは言うまでもありません。

ピアノは何よりも変化のあるのを嫌います。
(温湿度)もちろんシビアに管理出来る方はそうして頂くに越したことはありません。
※ヨーロッパのピアノメーカーの中には湿度40パーセント付近を推奨しているピアノもあったりします。
各々のピアノにあった湿度を維持してあげる事が大切です。

また冬季、私たち調律師を悩ませるのが床暖房。
床暖房とピアノはとても相性が悪いです。
過乾燥による音律の狂いはもちろん、木が反ったり割れたり、接着が剥がれたりとトラブルの原因となります。
床暖房をご使用の方は、株式会社東京防音さんから出ているような断熱パネル(もしくは遮熱シート等)を使って頂き、床暖房による過乾燥からピアノを守ってください。

ピアノを保守・管理していく上で湿度管理は極めて重要なのです。
調律師さんにピアノの状態をチェックしてもらいながら適格な湿度管理をするよう心掛けたいものです。
私があるピアノの先生の家に調律に行った時、その先生は乾いていればいるほど良いと思っていて、真冬の空気がカラカラの時期に窓を全開にしていて閉めていただいた事もありました・・・
一般の家庭で厳密な湿度のコントロールは限界がありますので、梅雨時や夏は除湿、冬は結露を起こさない程度に加湿と思っていただければそんなにピアノが傷むことはないと思います。

尚、言うまでもなく「梅雨時から夏場」は「除湿」が必要となります。

【まとめ】

  • 一年を通じて一定の湿度に保つようにする(室温も)
  • 冬季は加湿が必要になる環境も多い
  • 加湿器はハイブリッド式や気化式を使う
  • スチーム式の加湿器は絶対に使わない

関連リンク : 調律を安定させる為に

The author is Masami Watanabe

ピアノ調律に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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