埃が気になるのでピアノ全体を覆うカバーをかけたい
淡い木目のピアノ等はそれほど埃は目立ちませんが、黒いピアノは埃や手垢が目立ちますね。オールカバーを掛けたくなる気持ちも分からなくはありません。ですが我々調律師の間では、オールカバーはあまり評判が良くありません。特に学校の音楽室で見られるような、黒い生地で内側に赤いフェルトみたいのが付いているタイプは個人的にお勧め出来ません。
日本のような湿気大国でピアノ全体を覆ってしまうと、梅雨時などは内側に湿気がこもってしまいますし、あの内側の赤い素材が湿気をため込んでしまうようです。どうしてもカバーを掛けたい場合は、トップカバーもしくはハイトップカバーにとどめておくのが無難かと思います。出来るだけ埃や手垢は、クロスや毛ばたきで日々取り除いてあげて下さい。そうすることでピアノも綺麗な状態を保つことができますし、愛着もわいてきますよ。
因に flickr 辺りで海外の家庭のピアノの写真を見てみてるとあまりカバーをかけていない事に気付きます。家庭で使うピアノも黒ではなく、艶の無いマットな木目のピアノが多いようです。茶系のマットなピアノであれば、埃や傷も気になりにくくフローリングや他の家具との相性も良いからだと思います。日本でも昨今は、そういったタイプのピアノを選択される方が増えてきました。家屋が洋風化しているのも要因の一つですし、選択肢が増えて選べるようになったところも大きいかもしれません。
【参考】 : オールカバーをかけたまま、長年に渡り多湿と過乾燥をくり返したピアノ
(剥がれてしまった鍵盤上面)
(剥がれてしまったハンマーフェルト)