グランドピアノは大きいから我が家には置けない?
グランドピアノと聞くと、「とにかく大きい」という印象をお持ちの方も多いようです。
それはきっとテレビやコンサートホールで見るグランドピアノが大きいからでしょうか。
ホールのグランドピアノは奥行きが3mくらいあります。
あのサイズはホールで弾いたときに、ちょうど良い音を奏でるサイズですね。
奥行が3m近い大きさのピアノを6畳の部屋に置こうとしたなら、大き過ぎるし、なにより音が大きくて耳がやられそうです。
ご家庭で無理なく置けるサイズというのが各メーカーから出ています。
かなり小さいものですと奥行き150cm程度。
身長150cmの人が床に寝ている状態を想像してみてください。
意外と場所をとらないことがわかります。
但し椅子の設置分を含んでいないので、ピアノ本体の奥行にプラスして椅子の占有分も考えておかなければなりません。
加えてグランドピアノの場合、アクションの調整を行う際にアクションを手前に引き出して作業しますので、ピアノの手前側(鍵盤側)のスペースは余裕を設けておきたいです。
現行の国産グランドピアノの場合で言えば、最小の奥行150cmクラスのピアノから約10cmごとに大きいサイズのピアノが用意されています。
2021年時点でのY社のラインナップを見てみると
- GB1 奥行151cm
- C1X 奥行161cm
- C2X 奥行173cm
- C3X 奥行186cm
- C5X 奥行200cm
- C6X 奥行212cm
- C7X 奥行227cm
- CFX 奥行275cm
このように六畳のお部屋にも置けるサイズから、ホールで遠くの席まで音が届くように造られた奥行の長いピアノまで用意されています。
グランドピアノは小さくてもいいのか?
じゃぁって事で一番小さいサイズで良いかというと、必ずしもそうではないんですね。
奥行が短いということは当然弦の長さが短くなります。
中音・高音の弦の長さはさほど変わりませんが、低音の弦の長さがピアノのボディサイズが短い分、張れる長さが短くなってしまうので低音の迫力が不足したり音程感が薄れます。
アップライトピアノや奥行の短いグランドピアノで一番左の鍵盤、最低音の1key(A)を鳴らすと「何の音が鳴っているのか分からない」と感じる方も多い筈。実はこれ弦が短いことが関係してるんですね。
奥行180cmまでのグランドピアノと高さ130cmのアップライトピアノでは、低音弦の長さがほぼ同じなのです。
ピアノの奥行が短いので響板の面積も小さくなります。
響板もある程度のサイズがあったほうが良い響きを得られるので、小さいグランドピアノは音色の面でも影響を受けます。
さらにピアノ本体の奥行が短いと、それに合わせて鍵盤の長さも短くなります。
鍵盤の長さはタッチ感に直接関係してきます。
奥行の短いグランドピアノの鍵盤の長さは、アップライトに近いものになってしまいます。
そうした奥行の短いグランドのデメリットを鑑みて、ご家庭に置かれているサイズは180cmクラスが多いです。
ピアノ本体の奥行だけに気を取られると鍵盤の長さのことを忘れがちですが、もし置けるのであれば180cm以上のピアノが、鍵盤長・ベース弦の長さ・響板の面積などのバランスが良いです。
グランドピアノはアップライトピアノと違い高さもぐんと低いですし、ピアノの下も空間がありますので、かえって部屋が広く見えるケースもあります。
小さなグランドピアノも立派にグランドとしての機能を備えていますので、ピアノを弾くのがより一層楽しくなりますよ。
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The author is Masami Watanabe