新品ピアノを購入したのに、すぐに調律が狂う
真新しいピアノ、外装も綺麗で気持ちのいいものですね。
「新品なのにすぐに調律が狂うなんておかしい」というお気持ちは分かります。
実は納品したての新品ピアノは、ものすごく調律が狂いやすいものなのです。
調律が狂いやすい理由は、新品のピアノに張られている弦がまだ新しいので、ピアノに張られている張力により伸びてしまうのです。
工場から出荷される前に幾度かの調律がされたり、メーカーによっては自動打鍵機にかける等された後出荷されますが、それでも新しい弦にとっては十分とは言えず、納品後しばらくは、短いスパンでの調律が必要になるものなのです。
これまで多くの新品ピアノを見て参りましたが、調律が安定するのに早いもので2~3年、長いものだと4~5年かかる場合もあります。
メーカーによる違いや個体差もありますので、一概に何年の間にどれぐらいの頻度でやれば必ず調律が安定するということは言えません。
それでも、根気よく短い期間(初期は3ヶ月なり、その後半年ペース等)での調律を繰り返し行うことで、次第に狂いが少なくなっていきますので、定期的な調律を続けていくことが肝心です。
納品後のしばらくは、メンテナンスを重ねるごとに安定していく様子を楽しむくらいのつもりでピアノと付き合ってあげるといいですね。
同じ新品ピアノなのに弦の伸びが早く落ち着くピアノとそうでないピアノがあるのは、例えば
- 工場から直接ご自宅に送られてきたピアノ
- ピアノ屋さんの店頭に展示されていたピアノ
の2パターンが考えられます。
新品ピアノを購入するときにメーカーの工場に行き、そこで何台かの中から選んで決める「選定」という購入方法があります。
この場合、調律回数の少ないピアノになるので、納品後に安定した状態にするまでの期間が長くなります。
一方でピアノ屋さんの店頭に展示されていたピアノの場合、店頭に展示していた期間が長いと何度かの調律がされていることがあるでしょう。
店頭にあるピアノを試弾しにきたお客さんに、あまりにも音律が狂ったピアノを弾かせるわけにもいきませんので。
2台とも新品ピアノということになりますが、どんなところでお求めになるかで納品後に安定するまでのメンテナンス頻度が違ってくるんですね。
新品ピアノの調律頻度は、状態の経過を見ながら、またピアノをご使用になる方の要求する許容範囲と照して、調律師さんと相談しながら調整していくと良いでしょう。
The author is Masami Watanabe