丁寧な調律作業が出来る!
私はもともと何年か楽器店に社員の調律師として勤務していました。
そこで働いている中で次第にいくつかの疑問を抱くようになりました。
私の勤めていた会社の場合、1日のスケジュールは完全に会社が管理していました。
考え方によっては「予め組まれた仕事をこなしていけば良いのだから楽で良いじゃないか」という見方もあるかもしれません。
しかし調律師=技術者の立場からすると、そうではないと思うのです。
杓子定規に「何時に誰さんの家、次は誰さんの家」と一件あたりの作業時間を1時間として予定を組んで動けるような仕事ではないのです。
何故ならばピアノを扱う調律師も生き物、ピアノも生き物、ピアノが違えば状態も違ってくるのは当たり前で当然仕事に費やす時間も違ってくるからです。
そのような条件の違いがなかったとしても、1時間そこそこでは少々時間が足りない気がします。
ピアノは、調律(チューニング)だけしていれば良い状態が保てる訳ではありません。
ピアノという楽器は、他のアコースティック楽器と違い「アクション」というメカニカルな機構が内部にある為、それらを定期的に調整してあげなければ、購入から時間が経過していきますと次第に良いタッチ、良い音色が得られなくなってしまうのです。
その為、作業時間に制約がある場合「整調(せいちょう)」「整音(せいおん)」といった大切な作業が出来ないままとなってしまいます。
このような状態は、お客さまにとっても好ましくはありませんし我々調律師も消化不良な仕事になってしまい後味の悪い調律作業となってしまいます。
独立後の現在は、時間の制約なく作業させて頂く場合が多く、時間の許す限りお客様のピアノをベストな状態にしたい!というのが正直な気持ちです。(作業をご依頼頂く際は、充分な作業時間を見て頂けましたら幸いです)