使わない(弾かない)とダメになるの?
ピアノは、使わない(弾かない)からといってダメになることはありません。
但し使っていない期間も、最低年に1回は調律ができるといいのですが...
よく「うちのピアノは使ってないから音も狂ってないです」と仰る方がいるのですが、残念ながらピアノは日数に置いておくだけでも少しずつ音律が狂ってきてしまうモノなのです。
厳密には、ピアノの調律を終えた直後から、少しずつ狂いはじめています。
その為、ホールやレコーディングスタジオでは、使用する度にチューニングを行っているのです。
「いや別にうちコンサートホールじゃないし」と思うかもしれません。
大きく狂ってしまってから、綺麗な音律に戻すのはとても大変なのです。
何年もメンテナンスをせずに放置してしまったピアノを再度、調律をして安定した状態にするのはなかなか大変な作業となりますが、ピアノを使わない期間も定期的に調律をしておくことで、またいつでも快適な状態でピアノを弾くことが出来ます。
数はそう多くはありませんが、ピッチが下がりきった弦を急にピッチ上げした為に、弦が切れてしまうこともあります。
しばらく放置したピアノでは断線のリスクも出てきますので、やはりピアノは定期的にメンテしておいたほうが、ピアノにも優しいといえます。
定期的なピアノの調律(含む整調、整音、修理)は、歯の定期検診や車の定期点検同様、大事に至るのを未然に防ぐために必要不可欠なものとお考えいただければと。
ピアノを弾かない期間、メンテナンスをしなかった場合、虫害にあっている場合もあります。
ピアノには上質なフェルト・クロスがたくさん使われていますので、セーターに穴を開けてしまう系統の虫が入り込むとフェルト・クロスが被害に遭うことが珍しくないです。
定期メンテナンスをしていれば、大事に至る前に見つけて、対策を講じることができるんです。
「弾かない」ということは、ピアノ内部(鍵盤~アクション等)の消耗品が消耗しないという事になりますので、「ピアノを弾かないという行為=ピアノが痛む」という事ではありません。
様々な事情で使わない期間があることは構わないかと思います。
但し、その期間も湿度にだけは気に掛けておくと良いです。
ピアノが快適に過ごせる湿度は、概ね相対湿度50パーセント程度です。
梅雨時~夏季の除湿(三菱電機の180を推奨)と冬期の必要に応じての加湿(パナソニックの気化式加湿器を推奨)を怠らないことが重要です。
ピアノはジメジメとカラカラが苦手なのです。
ピアノを使っていない期間は、たしかに消耗部品は消耗しませんが、多湿や過乾燥だったりしますとフェルトや木部にダメージを与えてしまいます。
また、部品が動かずにじっとしているとセンターピン周りのブッシングクロスの膨張によるスティックなども懸念されますし、ダンパースプーンとレバークロスの接点でスプーンにスラッジが溜まることも有ります。
鍵盤のバランスキーピンの根元も錆やすい箇所ですが、除湿機による除湿と定期調律の際の点検・調整で被害を最小限に済ますことが出来ます。
ピアノをご使用にならない期間、曲は演奏しなくてもいいので、時々全ての鍵盤を端から端まで叩いて音を出すようにしておくと良さそうです。
ピアノの中は円運動をする回転部品がたくさん使われているので、それらの部品たちを時々動かしてあげたいのです。
結論めいたことを言えば、やはり年に1回は調律をして、使わないなんて言わずに時々は鍵盤蓋を開けて音を出してあげると、きっとピアノも喜んでくれると思うのです。
関連リンク : ピアノ調律とは?
関連リンク : 調律を安定させる為に
The author is Masami Watanabe