冬場にピアノを弾く時、指が乾燥して鍵盤が滑りますが(特に黒鍵)対策は?
象牙の白鍵に、黒檀の黒鍵であれば滑りにくいのですが、普及しているピアノの多くはアクリルの白鍵にフェノールの黒鍵で表面にエンボスも無いため指先が乾燥していると(逆に汗をかいても)滑りやすい事があります。
特に白鍵に比べ細く、高い位置にある黒鍵を捉えきれずに指が黒鍵から滑り落ちる場合があり困りものです。
指先そのものの乾燥に気が行きがちですが意外と見落としがちなのが「鍵盤の表面に汚れが付着・堆積している」為に滑りやすいということがあります。
日々ピアノの調律にお伺いしている中で出先のピアノの鍵盤を拝見しておりますと、必ずしも鍵盤が綺麗なピアノばかりではありません。
一度全ての鍵盤を鍵盤専用のクリーナーを使って徹底的に綺麗にしてみてください。
写真のクリーナーは、白鍵と黒鍵の両方に使用出来て研磨剤も含まず扱いが楽で安心です。
「キークリン」といいます。(ロングセラーの定番です)
汗や油、汚れ等を鍵盤の表面から取り除くだけでもかなり指が鍵盤を捉えやすくなることが体感出来ます。
出来ればピアノを使用する前と使用後クリーナーを使って鍵盤の表面を綺麗にするようにしてあげるとベターです。
練習等が長時間になるような場合は途中、何度かクリーナーで綺麗にしてやります。
注意したいのは、ピアノの外装を磨いたクロスを鍵盤の掃除に使い回してはならないという事。
同様にいわゆるピアノの外装用の「シリコンクロス」の類いも鍵盤には使用不可です。
ピアノの外装を磨くシリコンクロスには微量のシリコン等が含ませてあるものが多いので、これを使って鍵盤を拭いてしまいますとかえって鍵盤が滑りやすくなってしまいます。
鍵盤の掃除に使用する布(クロス)は外装を磨くクロスとは別のものを使用し、余計な成分を何も含まない清潔なものをご使用ください。
とは言え、どれだけ鍵盤の表面が綺麗でも指先が乾燥していると鍵盤が滑ります。
そこで指先をしっとりさせる必要がありますが、せっかく鍵盤を綺麗にしたのにオイルを含んだものを指先に塗ってピアノを弾いてしまうと鍵盤表面にオイルが移ってしまいます。
私の場合は、オイルを含まない化粧水をほんの少し指先に塗って弾いたりします。
現在私は写真のものを使用しています。
ほんの少し指先に塗ってやるだけで鍵盤上で指が滑ることなく弾けるようになります。
まとめますとピアノの鍵盤上で乾燥した指が滑ってしまう場合は
- 鍵盤表面の汚れを徹底的に掃除し汚れを取り除く
- オイルを含まない化粧水(ローション)を指先に塗る
指の乾燥で鍵盤が滑ってお困りの方は、一度試してみては如何でしょうか。
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The author is Masami Watanabe