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Granfeel グランフィールの取付け(ヤマハ U2H)

取り付け事例はこちら→

ヤマハU2Hにグランフィールを取付け
ヤマハのアップライトピアノ U2H にグランフィールを取付けました。

後付け消音ユニット
作業前のピアノの状態は、マンション住まいだった頃に取り付けた初期の後付け消音ユニット(サイレント)が付けてあります(旧テクニクス製、現コルグ)。
消音ユニットの付いているピアノ特有の不具合がいくつか見受けられます。
鍵盤下の旧式光センサーからは特にアクチュエーター関連のカシャカシャという雑音が気になります。
このメーカーのこの時期の消音ユニットは音源ボックスのスイッチ類も共鳴して雑音を出す事がありアコースティック演奏時に結構鬱陶しいです。
現在は戸建に移りピアノは地下のピアノ室に置けるようになりましたので消音ユニットは必要ないので取外し、
整調を基準寸法に戻しグランフィールを取付ける運びに。
消音ユニットは付いていないに越した事はありません。
現状は例外無く消音都合の整調(せいちょう)になっていて
レットオフ(ハンマー接近)は驚きの13mm(基準寸法は低音側から3mm,2.5mm,2mm)、力の無いタッチで音もぼんやりとした響きに。
製番1488XXXのU2Hなので、本来ならもっと元気で良い音がする筈ですが
消音都合のイレギュラーな整調で本来の性能が出ていないようです。

何故か打弦距離は意図的に44mmに狭くしてあり(基準寸法は47mm +-1mm)、
あがきは10.4mmと深めになっているので、13mmのレットオフと相まって
「働き」が大きくなり過ぎてタッチは崩壊しています。
スプーンの掛かりも消音都合でかなり遅めにしてあります。
ダンパーブロックスクリューが消音バー(ストッパー)の裏に当たるのを回避する為の苦肉の策のようです。

消音ユニットの取外し
取り外した消音ユニット。
外すのはあっという間です。
取外しをご希望の方はメールでお問い合わせくださいませ。
整調を基準寸法に戻せるので、音とタッチがピアノ本来の状態に戻ります。

棚板
消音ユニットが取り外され棚板もスッキリしました。

貼られたブライドルテープ
このピアノ、かつて虫害、鼠害(チュー!害)にあったらしく
以前の調律師さんが喰われたブライドルテープの大半を交換しています。(古いテープの端が残っているのが確認できます)
何故か古いテープを切って、新しいテープをキャッチャーの裏に貼って処置する方が多いようです。
数が多くなるとキャッチャーを外すのが面倒というのも分からなくはないです...

喰われたブライドルテープ
オリジナルのブライドルテープの取付けを見ると違いが分かります(このテープも喰われてますね...)。
ブライドルテープはキャッチャーの裏に貼付けるのではなく
シャンクの裏に貼って、キャッチャーを嵌めて保持されるのが正しい状態。

キャッチャーをはずす
オリジナルと違ってしまうのは気に入らないので
キャッチャーをはずして直しました。

ブライドルテープの修理
喰われたブライドルテープの交換漏れがいくつかあったので
全てオリジナルと同じように修理しました。
この取付け方法でないと微妙にアクションの動きが違ってくるように思うのです。

喰われたダンパーフェルト
ダンパーフェルトも喰われて下側のフェルトだけで止音されていました。
これも新しいフェルトに交換です。


アクションの気になる部分をあらかた直しつつ、グランフィールパーツの取付けに取り掛かりますが...
ダンパーストップレール
サイレント(消音)の部品を取り外しただけではピアノはオリジナル状態には戻りません。
消音ユニットの付いたピアノは本来ダンパーストップレールという角棒が付いている場所に「消音バー(シャンクストッパー)」を取付けているのでダンパーストップレールがありません。消音バーを後付けした場合はオリジナルのストップレールを保管しておいていただければ、それを元の場所に取付ければオリジナル状態に戻せます。工場出荷時から(カタログモデルの状態から)サイレントだったピアノは元々ダンパーストップレールが手元に無い事になるので、メーカーから取り寄せるか、入手不可能であれば製作することになります。
今回のU2Hの場合、お客様曰く消音ユニットを付けた調律師さんがストップレールを持ち帰ってしまったとの事で手元に無かったのでメーカーからストップレールを取り寄せてオリジナルの状態に戻しました。
ダンパーストップレールが無いとダンパーが暴れてしまうのと、グランフィールパーツの2種類あるうちの一つ「ショット&
ドロップスプリングはストップレールに取付けるので
ダンパーストップレールがあることが必須なのです。

ショット&ドロップスプリング
元に戻ったダンパーストップレールに
ショット&ドロップスプリングを取付けます。
今回入荷分からスプリングのクロスはブラックから渋いピンク系に変更になっています。
以前のドロップスプリングはスプリングのクロスも
シャンク側のクロスもブラックだったので
黒いものと黒いものの距離感を調整する事になり若干見ずらかったのですが
現行の部品はスプリング側がピンク、シャンク側が薄茶となり
調整の際に見やすくなりました。

レペティションスプリング
グランフィールの要「レペティションスプリング」の取付け。
私の場合、高音セクション(必要に応じて次高音から中音の途中くらいまでも)に一工夫して取付けています。
何もせずに取付けると多くの場合特に高音側で
初動からスプリングを引きずる格好になってしまいタッチがスッキリしないので
それを避けるために一手間加えています。
試行錯誤ってヤツです...今日より明日はもっと良いアイディアを思いつくかもしれません...
少しでも弾きやすいグランフィールを目指して...

ハンマーバット加工
グランフィールパーツを取付けただけではグランドのタッチにはなりません。
ハンマーバット加工という作業も必須です。

アクションをピアノにセット
アクション側の作業が終ったらお客様の元へアクションを納品し調整作業を行います。

44mmだった打弦距離を46mmに修正
10.4mmのあがきを10.0mmに修正
13mmのレットオフを3mm、2.5mm、2mmに修正
基準寸法内で「働き」が正しく出るように調整します。
普通が一番弾きやすいと思います。

極端に遅かったスプーンの掛かりもヤマハの整調寸度に修正し
レガートでブツ切れになることもなくなりました。

ドロップスプリングとレペティションスプリングを最大限効果が得られるように調整すると
グランドピアノ特有の豊かな倍音が得られ
鍵盤は下ろした鍵盤を少し戻すと次の打鍵が可能になります。
この時グランドピアノと同じ様にハンマーがダブルエスケープするのに伴い
指先にクイっと鍵盤側から持ち上がる感触も得られるようになります。

屋根支持棒
この時代のピアノはグランドと同じ様に屋根を斜め開けする屋根支持棒が廃止されていますので、
追加で製作して取付けました。
屋根を斜め開けすることで音が前面に飛ぶようになり
ドロップスプリングの副産物である倍音も綺麗に聴こえます。
グランフィールの付いていない普通のアップライトも
屋根を開けるとグッと音が良くなりますので
是非積極的に屋根を開け、音の出口を確保し演奏をお楽しみください。

除湿器
地下室ということで湿度高めです。
春夏は除湿器を常時運転して居られます。

湿度計
5月初旬の雨の日、除湿器を稼動してようやくこの数値です。
この室温でこの湿度を維持出来ればひとまずスティックを起こす心配はなさそうです。

「グランフィール」については
以下のページに詳細を掲載しております↓
http://www.piano-tokyo.jp/granfeel.html

 

渡辺ピアノ調律事務所
〒154-0016 東京都世田谷区弦巻1-20-14
E-mail  info@piano-tokyo.jp
url  http://www.piano-tokyo.jp/
weblog  http://www.piano-tokyo.jp/blog/

※ほとんどのアップライトピアノに取付け出来ますが一部取付け出来ないピアノもございます。
※ハンマー「バット」加工が必要な商品の特性上、バットスキンの劣化が激しいピアノやバットスキンが合成皮革のピアノの場合別途バットスキン交換費用が掛かる場合があります。

・グランフィール技術は藤井ピアノサービスの特許商品です。
・Granfeel は、藤井ピアノサービスの登録商標です。

グランフィールに関してのご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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