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良くある質問(ピアノにまつわる質問集)一覧

ピアノの鍵盤が重いのですが調律で軽く出来ますか?

BWの測定

ピアノのタッチウエイトはある程度変更可能です
調律作業の中の「整調(せいちょう)」という作業が関係してきます。
メーカーや機種によって多少の調整幅の違いはありますが、ある程度実用的な範囲で変更することは可能です。
しかし整調以前に鍵盤からアクションまでの稼動部が正常に動作していないピアノも少なくありませんので、そのようなピアノの場合は、先ずアクションのフレンジが正しく動作するような修理・調整等が必要になります。
アクションに複数ある接点の摩擦抵抗もタッチに影響します。
スプリング力なども関係します。

タッチを軽くするためにやれる事はいくつかあります。
整調だけでタッチをどうにかしようとしても限界がありますので、別のいくつかの手法を組み合わせて、求める鍵盤の重さに調整する事になります。
ハンマーを軽量化するとか、テコ比率を変える。部品の位置関係を見直すなどです。
状態によっては慣性モーメントの大小もタッチの調整に加味します。
鍵盤からアクションまでが問題なく動作し、整調もきっちり手を入れてもなおタッチが改善されない場合は、鍵盤の鉛調整を行います。
1鍵ずつ鍵盤が降りる時の重さと上がる時の重さを計り、鍵盤鉛のサイズと配置を見直します。
新たな鉛を追加する場合もあれば、状態によっては鉛を減らす事で目標とするタッチに調整します。
この1鍵ずつ重さを計り鉛の位置を決めていく作業は欧州のピアノでは当たり前に行われていますが、国産ピアノではコストの関係からか極めて事務的な位置にしか鉛が入っていません。
時間のかかる作業ですが本来きちんと行わなければならない大切な作業です。

HSW計測

グランドピアノの重たい鍵盤でお悩みの場合は「タッチウエイトマネジメント」という技術で調整する事で解決します。
タッチウエイトマネジメントではバランスウエイトと慣性モーメントの両方を変更出来ますので、調整の自由度が大きく結果も良好です。
タッチレールはお手軽ですが、バランスウエイトしか軽くなりません。
タッチレールの適切な使い方は、「タッチウエイトマネジメントでFWシーリング値マイナス3gとなるよう調整した際に、BWが標準値まで下がらないような場合にタッチレールを使ってBWを下げる」というのが最適な使い方となります。
よってタッチレールだけ取り付けて「はい軽くなりました」というのは本当の意味でタッチが軽くなったとは言えない状態です。

もともとピアノには「タッチ調整機能」なるものが備わっている訳ではありません。
整調(せいちょう)※1の各工程を基準寸法からずらしてやることでタッチを軽く(重く)したりするのが一般的でしょうか。
基準から少なからずともずらすということはタッチを軽く(重く)するのと引き換えに、弾きにくい状態になってしまう事もあります(例えば連打性が落ちる等)。
少しの変更はさほど弾き心地に影響しませんが、過度なタッチ変更はあまりお勧めいたしません。
理想はピアノ購入段階で、自分好みにあったタッチのピアノを選ぶことが大切です。(音色についても同様)

関連リンク : 10円玉で鍵盤の重さを計ったらDW60gでしたが重いのでしょうか?

※1 ピアノ用語集の R : Regulating , Regulation(レギュレーティング、レギュレーション)参照

The author is Masami Watanabe

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お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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