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ピアノ調律に関する用語集

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Let off(レットオフ)

「接近」または「ハンマー接近」とも言います。鍵盤をそぉーっと下ろしていくと、ハンマーは弦に当たる直前で弦から離れます(ジャックの脱進、エスケープメント)。一般的には、ハンマーが弦の手前 2~3mm 程度のところまで来た際に、ジャックが脱進しハンマーがジャックの突き上げから解放されるよう調整します。低音側は広めに(3mm)、中音は2.5mm、高音側は狭く(2mm)調整します。グランドピアノでは高音部を1mm程度まで詰められるものもありますが、あまりにレットオフが狭いと、逆につまった音色になったり、弦が切れやすくなる場合もある為、季節変化等も考慮し、ピアノと使用環境に合った最適な値に調整する必要があります。逆にレットオフの寸法が広すぎると、小さい音を出そうとして弱い打鍵をした際に音が鳴らないといった症状の原因になります。基本はメーカーの基準寸法で調整します。鍵盤を非常に弱く下ろした際に音が出ないのは、この動作によるものです。レットオフは他の整調工程の影響を受けない工程でもあります。

実際の動きを見ていきましょう!(以下はグランドピアノの場合です)
鍵盤をゆっくり下ろす
鍵盤をそ〜っと下ろしていきます

鍵ハンマーは弦に向かってゆっくりと進む
ハンマーは弦に向かってゆっくりと進んでいきます

ハンマーはジャックの突き上げから解放される
弦に2mmから3mm程度近づいたところでハンマーはジャックの突き上げから解放されます(弦に2mmから3mmハンマーが近づいたところというのは、言い換えると鍵盤が7mmから8mm下りたところでもあります)

ハンマーは打弦せずに下に戻る
ハンマーは弦を叩くことなくカクンと下方向に2mm程度落下します「ハンマードロップ」。(この時鍵盤は2mmから3mm下がり底面に到達します)

鍵盤を下ろしていく時、ハンマーがアクション部品と物理的に接しているのは鍵盤を7mmから8mm下げたところまでで(ハンマーが弦の手前2mmから3mmのところまで近づいたところまで)残りの弦に到達する動作は勢いで弦を叩く構造になっています。鍵盤を7mmから8mm下げたところ、弦まで2mmから3mmのところで手からボールを離すイメージです。この距離が(レットオフが)狭すぎると詰まった音になってしまいますし、広すぎると音抜けの原因になりますし、タッチは腰のないものになってしまい弾きにくいピアノになってしまいます。消音ユニット(サイレント)は構造上レットオフを広くせざるを得ない為、タッチや発音が今一つなのはこの寸法の影響によるところです。

Lost motion(ロストモーション)

「から」とも言う。鍵盤とアクションの間に出来る隙間のこと。これと逆の状態を「突き上げ」という。特に日本の場合、四季の変化(温度・湿度)が激しいので、それにともなって調整が必要になる。対策として、梅雨~夏季の「除湿」或いは、冬場の加湿が重要です。長期にわたり調律されていないピアノでは、「から」や「突き上げ」が極端に多い状態になっていたりする場合があります。私は師匠に「からは万病のもと」と教わりました。ジャックの先端とバットスキンの隙間、ハンマーシャンクとハンマーレールクロスの隙間が両方ゼロになるよう調整します。この調整が必要なのはアップライトのみです。

実際の調整を見ていきましょう!
ジャックとバットスキンの隙間をゼロに
ジャックとバットスキンの隙間をゼロにします

鍵盤をゆっくり下ろす
ハンマーシャンクとハンマーレールクロスの隙間をゼロにします。ハンマーシャンクはハンマーレールクロスにもたれかかっている訳ではないです。

鍵盤をゆっくり下ろす
キャプスタンボタンの穴に「から直し工具(パイロットドライバー)」を差し込み、キャプスタンボタンを回して「から」の状態でもなく、「突き上げ」の状態でもない「ゼロ」の状態となるよう88鍵を調整します

by Masami Watanabe (www.piano-tokyo.jp)

調律の出張に関するご質問は、
お気軽に渡辺宛 info@piano-tokyo.jp までお問い合せください。

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